2025年9月、世界的デザイナーのジョルジオ・アルマーニが静かに旅立った。享年91。しなやかなラインと克明な美意識で、ファッションからコスメまで時代の感性を塗り替えたレジェンドは、自動車の世界とも深いつながりを持っていた。
※本稿は2025年10月のものです
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:ジョルジオ アルマーニ ジャパン ほか
初出:『ベストカー』2025年11月10日号
デザインに込められたG.アルマーニ氏の哲学
医学生として将来を歩むはずだった青年は、在学中に兵役に召集された。大学はそのまま中退し、モデルをしていた妹の影響もあってファッション界への転身を決意。白衣を脱ぎ、布に触れる未来を選んだ。
百貨店で多くのアパレルと時間を重ねた青年は、視線を惹きつける商品のあり方を学び、フリーのデザイナーへ転身。やがて1975年、念願だった自身のブランド「ジョルジオ・アルマーニ」を創設し、世界的ファッションブランドとして成長を遂げていく。
ファッションだけにとどまらず、化粧品やインテリア、家具と多岐にわたる事業を展開して、「モードの帝王」と称される偉大な軌跡を残したアルマーニ氏は、クルマ業界との結びつきにも深い絆があった。
最初のコラボレーションは2005年。メルセデス・ベンツCLKの内外装を、アルマーニ氏自らが手がけた世界限定100台の特別モデルを用意。日本には30台が割り当てられて販売されたほか、東京で開催された「ジョルジオ・アルマーニ展」にも出展されて大きな注目を集めた。
2016年には、最高級のデザインと性能を兼ね備えたブガッティとのカプセルコレクションを発売。素材へのこだわりや色の使い方など、両者のこだわりが響き合っていたからこそ実現した贅沢なコラボだった。
そして、2024年。フィアットの創立125周年とアルマーニ氏の90歳を記念した特別な500eを欧州にて限定販売。2025年2月、本人に納車された。
ファッション業界で多大な影響力を持ち続けたアルマーニ氏。偉大な功績とともに、彼の魂は生き続ける。
メルセデス・ベンツ CLK500 degino by Giorgio Armani(2005年)
ボディカラーにはアルマーニのトレードマークのつや消しのサンドカラー「マグノ・サビア」を採用。ソフトトップは専用のハイテク素材が使われた。
インテリアはブラウンの本革とハイテク素材を組み合わせたシートを配し、パネルやトリムはウッドではなく、シートと同系色のレザーとクロームパーツを組み合わせた、アルマーニらしいコーディネート。
Giorgio Armani×ブガッティ カプセルコレクション(2016年)
ウェアやバッグなど合計24のアイテムで構成されたカプセルコレクション。写真はライニングに手触りのよいブガッティブルースエードを採用したマットクロコダイルのボストンバッグで、手作業で作られた。
スクーデリア・フェラーリと契約(2021年)
F1世界選手権を戦うスクーデリア・フェラーリのオフィシャルユニフォームを仕立て、イベント時に着用。「着る人の個性を美しく強調する洋服をつくる」アルマーニ氏のデザイン哲学を表現。ドライバーのシャルル・ルクレール選手も自信に満ち溢れた表情に。
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