路線バスをご利用いただくお客様は親切かつ丁寧な方が大多数です。しかし、運転手やバス会社に対して過度なクレームを言ってくる人がいるのも事実。なかには、「そこまで要求するか」という理不尽なケースもあります。今回は筆者が実際に遭遇したカスハラ3選を紹介します。
文:運屋フランク(Team Gori)/写真:写真AC、Adobe Stock
「来るのが遅い!!」……バスの完全定時運行は至難の業です
当たり前ですが、路線バスは運行時刻が決められています。我々運転手は常に時刻通りに運行できるよう努めていますが、その通りにはなかなかいきません。渋滞などの道路事情により、時間が左右されてしまうからです。
なかには2~3分の遅れにもかかわらず「どうしてこんなに遅いの⁉︎」と声を荒げる人もいます。高速道路を走っていて遅れたならその気持ちは分かりますが、一般道の渋滞や車内混雑は運転手にコントロールできません。
道路事情は常に変化するため、運転手の予想に反して大幅な遅延を余儀なくされることがあります。例えば天候が荒れると道路はどうしても混みますし、お客様の乗降にかかる時間も傘を持っている分、長くなる傾向にあります。おおらかな気持ちでバスを待つようにしましょう。
「Suicaが使えない!!」……導入には費用がかかります
バスの運賃支払いもキャッシュレス化が進んでいますが、支払いができる方法がバス会社によって異なります。交通系のキャッシュレスでメジャーなのはSuicaですが、私の勤務先は対応していません。
以前、それに対して「なぜSuicaが使えないの? あなたの会社はおかしいんじゃないの?」とクレームをつけられたことがあります。内情を言うと、Suicaの導入には費用がかかります。バス会社も民間企業ですから、費用対効果をみて導入するか否かを判断しなければなりません。
ただ、Suica に対応していなくてもクレジットカード払いやQRコード決済に対応している場合があり、Suica以外のキャッシュレスでお乗りいただけます。Suicaが使えない=キャッシュレス非対応ではないので、乗るバスに合わせて支払い方法を選択しましょう。
「運賃が高い!!」……運賃には物価高などが反映されます
昨今の日本は物価高で、さまざまな物品の値上げが相次いでいます。そのなかには公共交通機関の運賃も含まれ、電車やバスも値上げの傾向にありますが、それに納得いかないお客様から「運賃が高い!!」とクレームが入ったことがあります。
バスはタダで動いているわけではなく、バスを動かせば人件費も燃料費もかかります。それらのコストを運賃に反映しなければ、バス会社の経営は破綻してしまいます。それでも公共交通機関の値上げは、お客様の負担増を極力避けるべく、最小限に抑えていることを知ってほしいです。
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題として認識されて久しいですが、それでも理不尽なクレームが相次いでいます。会社としては、クレームはクレームとして取り扱わないといけないので、対応に苦慮しています。もし頭に血がのぼるようなことがあっても、一旦深呼吸をして、グッとこらえましょう。車内の雰囲気が明るくなりますので、ぜひご協力をお願いします。






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