コロナ禍での中古車バブルが落ち着いたように見える一方で、一部モデルでは再び上がる兆しが生まれつつある。中古車の現場で語られる、次のバブル候補を追う。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:トヨタ、スズキ、日産、三菱、写真AC
これまでの“中古車バブル”を振り返る
2021〜2023年にかけ、中古車相場はかつてないほど高騰した。人気の中心となったのはトヨタ GRヤリス、ランドクルーザー、ハイエース、そして1990年代の国産スポーツカー群。背景にあったのは新車の長納期化、円安、海外需要。特に北米でのJDMブームは旧車相場の上昇を強く後押しした。
その後、納期改善などで相場は落ち着いたものの、2024年後半あたりから次の波が到来。最初はオフロード&アウトドア系で、近年のアウトドア人気を背景に、SUVは根強い支持を得ている。特に注目されているのがランドクルーザー70再販の影響。新型の登場により、旧70系・80系の価値が再評価され、相場が底を打って再上昇している。
さらに、三菱 パジェロやトヨタ ハイラックスサーフといった国産クロカンの定番、三菱 デリカD:5なども値戻しの動きが出ている。いずれも壊れにくい、整備性が高い、キャンプ場で映えるとして人気が再燃。ファミリー層から趣味嗜好派まで幅広く支持を集めている。
中古車のプロが読む次のビッグウェーブ
2つ目の波は軽スポーツ・コンパクトホットハッチ系だ。代表格はスズキ アルトワークス、ダイハツ 初代コペン、スズキ スイフトスポーツなどが相当する。いずれも軽量、MT設定有、維持費が安いという3拍子が揃い、若いユーザーからベテランまで幅広い支持を獲得している。
特にスイフトスポーツはグローバルで評価が高まっており、国内外の買い手が増加。良質個体は引く手あまただ。また、最近ではコペンの生産終了が記憶に新しい。ジャパンモビリティショーで展示されたコンセプトモデルが興味深いが、後継モデルの正式リリースがない以上、初代コペンの価格上昇は避けられないだろう。
これらの要因は新車価格の高騰、もしくは純ガソリンスポーツの供給減少による。電動化の流れを受け、MTスポーツはもちろん、ターボモデル自体が減少傾向にある。また、SNS文化による“映える車”需要も影響。デザインが個性的な旧車、音が良いスポーツカー、カスタム映えするSUVなど、所有欲を重視する動きもみられる。
今後3年で狙い目になるモデルをまとめる
これらの状況を踏まえ、今後価格の高騰が見込まれる車種をまとめる。SUV系では新車の長納期と世界的に高需要のトヨタ ランドクルーザーやスズキ ジムニー、独自性と耐久力で人気のデリカD:5。スポーツ系では排ガス規制などの影響で後継モデルの登場が難しい日産 R35GT-Rや、希少性の高い初代コペンが予想される。これらは次のバブル候補と見られており、状態の良い車両はすでに探しづらくなりつつある。
中古車バブルは終わったのではなく、形を変えて続いている。静かに、しかし確実に相場変動は始まっているのだ。もし「価値が落ちない車」を探しているなら、今回挙げたモデルは要チェック。次の3年で価格が動く可能性は非常に高い。クルマ選びの指針として、今は情報収集が欠かせないタイミングだろう。






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