「まだ使える」は大間違い! 残溝ありでも危険なスタッドレスタイヤの寿命を見抜く4つのチェックポイント

「まだ使える」は大間違い! 残溝ありでも危険なスタッドレスタイヤの寿命を見抜く4つのチェックポイント

 冬が近づくたびに履き替えるスタッドレスタイヤ。確かに溝が残っていれば安心しがちだが、それだけでは不十分である。溝の深さ、ゴムの状態、そして摩耗の偏り……、これらを総合的にチェックしなければ、思わぬ事故につながる。ここでは、「どこまで減ったら使えないか」を徹底解説する。

文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock

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プラットフォーム露出が示す“交換のサイン”

プラットフォームまであとわずかのスタッドレスタイヤ。地面と接している唯一の部品であるタイヤについて、過信をしてはならない
プラットフォームまであとわずかのスタッドレスタイヤ。地面と接している唯一の部品であるタイヤについて、過信をしてはならない

 スタッドレスタイヤには、溝の深さの目安となる「プラットフォーム」というサインが設けられている。新品時の溝の約半分(おおよそ50%)まで摩耗すると露出し、これは“冬用タイヤとしてのグリップ性能が限界に近い”サインである。

 残溝だけ見ると「まだ使えそう」と思いがちだが、水はけや氷雪路での噛みつき、制動力はこの段階で大きく低下している可能性が高い。特に雪道や凍結路を走るなら、「プラットフォーム露出=交換判断」がもっとも安全である。

 ただ注意するべきはこれだけではない。タイヤの種類を問わず使用限界の印となる「スリップサイン」も確認したい。残り溝が1.6mmに達した時に出るタイヤとしての印で、これが露出したら有無を言わさず交換が必要だ。

ゴムの硬化・ひび割れは性能低下の“見えない脅威”

 タイヤはゴム製品であり、使用していなくても時間とともに劣化する。スタッドレスは柔らかいゴムで氷雪路への密着性を重視しているため、経年で硬化すると食いつきも制動力も大きく落ちる。ひび割れも発生しやすく、溝が残っていても“冬用性能”は確実に低下している。

 特に製造から3〜4年を超えたタイヤは要注意で、5年以上経過したものでは本来のグリップ性能を維持できる保証は薄い。

 タイヤショップなどでタイヤの硬度を測定してもらえば、一応の目安となる判断が可能だ。タイヤショップが公表しているデータによると、新品のスタッドレスタイヤの硬度は45以下、55~60で要注意、60以上なら即交換という判断になるそうなので、目安として覚えておくと役に立つ。

 なお、ひび割れに関しては、プラットフォームのある面(溝)にひびが発生している場合は、経年劣化が進んでおり交換が必要な状態だと言える。

偏摩耗は雪道での安定性を大きく損なう

 スタッドレスは4本が均等に摩耗する前提で設計されている。だが空気圧不足、アライメント不良、急ハンドルや急ブレーキなどにより、一部だけが過剰に削れる“偏摩耗”が起こりやすい。

 偏摩耗があると、1本だけ性能が大きく低下し、雪道・凍結路での不安定さが増す。グリップ不足だけでなく、ハンドリング不良や制動距離の延びにも直結する。

 見た目だけではわかりにくい場合もあるため、タイヤを外して確認したり、ローテーションを怠らず4本の摩耗を均等化することが重要である。

寿命は“溝+経年+状態”の総合判断で決めるべき

新品のスタッドレスタイヤ(右)と中古のスタッドレスタイヤ(左)。大丈夫だという人もいるが、製造後3~4年が経過したタイヤは、使用前に状態をきちんと確認してもらいたい
新品のスタッドレスタイヤ(右)と中古のスタッドレスタイヤ(左)。大丈夫だという人もいるが、製造後3~4年が経過したタイヤは、使用前に状態をきちんと確認してもらいたい

 スタッドレスタイヤの寿命は摩耗だけではなく、経年劣化やゴム状態が大きな要素となる。冬用性能の維持は「製造後3〜4年」がひとつの目安とされており、未使用で保管していたとしても硬化は進む。

 タイヤ側面の製造年(週/年表示)を必ず確認し、「今年で何年目か」を把握したい。また、ひび割れや硬化がある場合、残溝があっても冬道では危険である。

冬が来る前には、

・プラットフォームの露出
・ゴムの硬さ・ひび割れ
・偏摩耗の有無
・製造からの経過年数

といった“スタッドレスタイヤの健康診断”を行ってほしい。これらのうちひとつでも「怪しい」と感じるポイントがあれば、残溝を過信するべきではない。

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