現在、あおり運転は厳正な取締りの対象となりました。では、危険な運転で事故を起こした場合、自動車保険の補償はどうなるのでしょう。意図的な危ない行為には保険は使えなさそうですが、あおり運転と保険の関係性を詳しく確認していきましょう。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(Ekaterina@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】被害者にも加害者にもならないようにするために! ハンドルを握るなら絶対にアツくなるな! (4枚)画像ギャラリーあおり運転は人の心の揺れが原因で起こる
まず、あおり運転で検挙されると、最大で懲役3年、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられます。自動車運転中の検挙の中では、かなり重い罰を受けることになるため、絶対にあおり運転はしないでください。
無理な追い越しや進路妨害、急ブレーキなどで他の車に危険を及ぼす運転をすることは、ドライバーとしてあり得ない行為です。ただ、あおり運転の心理にはさまざまな要因が絡み合っています。
例えば、他のドライバーの運転に嫌悪を覚え、自身が制御できなくなるほどの、興奮状態に陥ってしまうことが、絶対にないとは言えないのです。クルマという大きな物体を操縦(運転)していると、気が大きくなり、攻撃的になりやすいということも覚えておきましょう。
これは誰にでも起こりうることで、誰でもあおり運転をしてしまう可能性があることを、心にとめておく必要があります。自分があおり運転の被害者や加害者にならないための対処法としては、運転中に冷静になるきっかけを作っておくこと。そして他者との共感を重視することが重要です。
保険は使えないから被害者が泣き寝入りになるケースもあるの?
基本的に任意保険は、悪質な運転があった場合でも被害者への補償は行います。ただし、飲酒運転や無免許運転など故意による悪質な運転での交通事故は、保険会社の免責事項に該当するため保険が使えません。
あおり運転もその一つになる可能性はゼロではなく、加害者側になれば、自身の怪我や愛車の損傷は、補償対象外と判断されることもあります。
では、加害者が任意保険に加入していないケースではどうなるのでしょうか。
あおり運転を起因とした交通事故で、加害者から賠償を受けられない場合は、自分の任意保険で自己賠償するしかありません。納得はいきませんが、これが現実です。世の中のクルマが全て任意保険に加入して走っているわけではないので、およそ3割の未加入車と事故起こせば、こうしたことも起こりえます。
こうした時に使うものが人身傷害保険です。治療費・休業損害・精神的損害・逸失利益・介護料・葬祭費等が、相手からの賠償の有無にかかわらず、実際の損害額(総損害額) で補償されます。
保険料節約のために人身傷害保険の金額を1000万円などと低く設定する人もいますが、最低限3000万円から5000万円は欲しいところ。無制限にしていてもやり過ぎというわけではないので、筆者のおすすめは無制限です。
車両損害には超法規的対応もあるにはあるが……
相手の補償がうけられず、自己補償となった場合、車の損害には、車両保険が適用されます。しかし車両保険に未加入のクルマも多いはず。こうした場合は補償の対象外となってしまいます。
ただし、道義的な観点から、一部の保険会社の過去の取り扱い事例では、異例ながら車両保険未加入でも被害者救済を名目とした、例外的車両保険の適用事例もありました。もし、自分が被害者側にあり、相手が任意保険に加入していない不届き者だった場合には、自分の加入する任意保険会社へ相談してみましょう。事情を話せば親身に相談に乗ってくれるはずです。
また、近年、ドライブレコーダーの普及によりあおり運転が即座にわかるようになりました。これにより、自分が煽ったつもりはなくてもあおり運転とみなされる可能性があります。もしも煽った側と認定されれば、自分を助けてくれる保険や補償を利用できなくなることが多くなるということも覚えておきましょう。
ハンドルを握る際には、心の余裕を持ち、精神安定を保つことが重要です。道路は、他の人が数多くいる「社会」の一つ。普段の生活と同様に、相手へ配慮を忘れずに。運転には余裕と思いやりが必要です。
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