九州最大の都市、福岡から関西方面の夜行が盛況になったころ次なる夜行路線は中国地方に目を向けられた。すでに岡山、島根県も存在し後を追うように開業した。
●大山号
○運行会社:日ノ丸自動車、日本交通、西日本鉄道(相手会社)
○乗車・撮影:2016年12月
(記事の内容は、2025年7月現在のものです)
執筆・写真/石川正臣
※2025年7月発売《バスマガジンvol.129》『思い出の長距離バス』より
■乗りたくなったきっかけはその大らかな名前!? 九州から山陰へ
鳥取県には大手の路線バス会社が2社がある。日ノ丸自動車(日ノ丸)と日本交通(日交)だ。
どちらも全国規模の大きなイメージある大らかな社名だが、一般路線は鳥取県のみ。しかし県内全体を2社が路線網を広げていて、日交はさらに関西までの県外長距離路線も古くから運行している。
日ノ丸の長距離便は1988の年東京便キャメル号から始まり、その後、広島や岡山へと長距離便を伸ばして行き、福岡便の大山号は夜行2路線目となった。
西鉄天神バスターミナルは帰宅する人たちで、どの乗り場も長蛇の列。夜行発車時刻となって、やっと待つ人の数は少なくなり、夜行便の案内もディスプレイに表示された。
■九州から本州へゆっくりスタート……九州のバスとは違う!?
やって来たのは日ノ丸自動車の車両、ほかの本州行きと比べると並んでいる人は少なそうだった。
乗務員と目が合うと「石川さんですね」、と即車内へ案内される。座席に座ってホッとする間もなく、ゆっくりと動き始めた。屋台で顔を赤くしている福岡県民の皆さまのお姿を眺めがら、市内を博多に向けて走る。
福岡は西鉄の新しい顔である連節バスが、博多国際ターミナルへ向っていた。
今でこそ製造メーカーも増え、北九州市でもよく見かけるようになった西鉄の看板車だったが、このころはまだ新顔で、時刻表などにも「連節バスはじめてのクリスマス」などと銘打って走っていた。
博多バスターミナルの迷路のような乗り場にも慣れていたため、迷わず着車。西鉄だけでなくジェイアールバスも見かけ、同じように賑やかだ。乗車する人も多くやっと車内も活気づいてきた。
そしてまた走行するのはターミナルの狭いバスルート。急坂をゆっくりと、このあたりは九州のバス走行とは違い印象深い(?)、走りのスピーディーさよりも丁寧さが重視されているような印象で、九州のバスとはちょっと違う乗り味のように感じた。
九州道に入れば高速道路ながらやはり丁寧に、そして消灯。北九州地区は乗車なしで関門大橋となった。
■雪をかぶった大山が爽やかな目覚めに貢献してくれた……か
朝5時ごろに宍道パーキングで開放休憩。夏ならすでに明るくなっている時刻だが、この時はまだ真っ暗なので宍道湖はどこか……と目を凝らすも見えるわけがない。
そして6時前に米子駅に到着。同時に大阪行きの高速バスが明るい車内に多くの乗客を乗せて発車していった。こちらはというとほとんどの乗客が降りて、また静まり返った車内となったが、山陰自動車道を慌てず時速70kmくらいでゴールを目指す。
夜が明け、明るくなってくると自家用車が増えてきたのがわかる。正面に真っ白な雪の美しい山が姿を見せた。いま乗っているバスの路線名、「大山」だ。さわやかな目覚めで鳥取市内を走り路線バスに囲まれ、朝の鳥取駅に到着した。
そして目についたのは、降車してすぐ売られていた朝刊だ。日本海新聞を購入。いまさっき見たばかりの白い大山がカラーで紹介されている。前日撮影とのことだが、今季一番の寒さだったと報道されていた。
日ノ丸も、日交に劣らず長距離便が定着した。しかし夜行は東京便に続いてこの福岡便も運行取りやめとなって、同社長距離便は昼行のみになってしまった。
同社ホームページによると1991年9月から2023年1月まで、なんと30年以上も愛された路線だった。利用者も少なそうだったし、人手不足もあって運行取りやめになってしまったのは残念だ。
【画像ギャラリー】雄大な名前のとおり余裕の走りでゆったりと福岡〜鳥取を結んでいた「大山号」(11枚)画像ギャラリー













