バイクのEV化は小型モデルから始まり、大型モデルも増えてきている。記憶に新しいところでは、1月2日から3日にかけて行なわれた箱根駅伝の1区と10区で、ホンダの電動バイク「WN7」をベースにしたEV白バイが先導車として使われ話題になった。各メーカー電動バイクの開発を進める中、エストニアに本拠地を置く「Verge Motorcycles」から「Donut Lab」が新たに開発した全固体バッテリーを搭載した電動バイクが発表された。
文/後藤秀之
EVの未来を担う全固体バッテリー
全固体バッテリーとはリチウムイオンバッテリーと同様に、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで電気を発生させるが、可燃性の有機溶媒を電解質に用いるリチウムイオンバッテリーと異なり、固体電解質を使用することで発火や液漏れのリスクが大幅に低減されるため、次世代のEV用バッテリーとして開発が進められている。また、電解質が固体のため動作温度範囲が広く高温に強い特性があるため、急速充電によって発生する熱の影響を受けにくく、従来のバッテリーよりも早く充電できるというメリットもある。
今回「Donut Lab」が開発した全固体バッテリーは、400Wh/kgのエネルギー密度を持ち、5分でフル充電することが可能と発表されている。また、劣化にも強く最大10万サイクルという設計寿命を持ち、−30℃の環境でも容量の99%以上を維持し、100℃を超える環境でも発火や劣化の兆候なく99%以上の容量を保つという。もちろん世界中の各社がこの新技術を実用化させるべく研究を進めているが、日本ではトヨタが量産は2030年ごろになると試算しているように、実現した量産モデルはいまだ存在していない。そんな中、世界に先駆けて出現したこの「Donut Lab」製全固体バッテリーを搭載した「Verge Motorcycles」の電動バイクは、10分未満でフル充電することができ、長距離仕様では1回の充電で最大600kmという航続距離を実現するという、従来の性能を遥かに卓越した性能が発表されているのだ!
バイクの未来形となるか? Vergeが放つ3台の電動バイク
今回「Verge Motorcycles」は「TS PRO」、「TS ULTRA」、「CALIFORNIA EDITION」という3種類の電動バイクを発表した。「TS PRO」がベーシックモデルという位置付けで、「TS ULTRA」はハイパフォーマンスバージョン、「CALIFORNIA EDITION」は「TS PRO」をベースに専用装備が与えられたカスタムバージョンとなる。
ベーシックモデル「TS PRO」
まずベースとなる「TS PRO」から見ていこう。まず最初に目につくのはリアホイールで、ハブレスドーナツモーターを後輪のリムに配したことでチェーンやベルトといった駆動系パーツは存在しない。このドーナツモーターの最大トルクは、なんと1000N・m=101.97kgmという大トルクを発生し、最高出力は102kW=138.7PSを発生する。トップスピードは200km/hと控え目だが、0-100km/h加速は3.5秒と600ccのスーパースポーツ並みの加速力を持つ。また、サスペンションは前後共オーリンズ製、ブレーキはブレンボ製を採用することで高い走行性能を発揮する。
バッテリーは最大で600km走行できる33.3kWhと、最大で350km走行できる20.2kWhの2タイプが用意されている。DC急速充電を使用すると33.3kWhバッテリーは最大200kWの充電電力を使用し、10分以内に最大300kmの走行距離を延長。 20.2kWhのバッテリーは、最大100kWで充電することで、同時に最大200kmの走行距離を実現する。また、「TS PRO」は、自宅や旅行先での充電に、オンボードチャージャーによるAC充電にも対応している。
「Stamatter」と名付けられたインテリジェント ソフトウェア プラットフォームが搭載されており、無線アップデートによってシステムがアップデートされる。このアップデートは表面的な部分だけではなく、バイクのコア部分まで行なわれるという。また、GPSや加速センサーなどを搭載し、携帯電話の接続やWi-Fi、ブルートゥースによるシームレスな通信機能も誇る。
スタイリッシュな「CALIFORNIA EDITION」
「CALIFORNIA EDITION」は、アメリカの未来のVergeユーザーへの期待と献身を体現するモデルとされている。「Verge Motorcycles」はアメリカでの冒険の出発点であるカリフォルニアの精神を体現した、真に特別なバイクを創り出そうと努めたといい、「CALIFORNIA EDITION」は、カリフォルニアの輝く太陽の下で自由と革新が融合する、カリフォルニア流のライフスタイルへのオマージュとなっている。
「CALIFORNIA EDITION」のスペックは「TS PRO」と基本的に同じとなるが、特別色となる「ポピーオレンジ」でペイントされ、トップフェアリングはデュアルトーン仕上げとなる。シートの表皮はパンチング仕様とされ、オレンジ色の下地が穴からさりげなく見えるのもおしゃれだ。
全てにおいて高性能な「TS ULTRA」
ハイパフォーマンスバージョンとなる「TS ULTRA」には、最大トルク1200N・m=122.37kgm、最高出力150kW=203.9PSというよりハイパワーなドーナツモーターを搭載する。最高速度は200km/hと他のモデルと同じだが、0-100km/h加速は2.5秒と1秒も短縮され、1000ccクラスのスーパースポーツ並みとなる。バッテリーは33.3kWhが搭載され、最大で600kmの航続距離を実現している。
「TS ULTRA」には先進的な運転支援システムも採用されており、バイクの周囲360°をカバーする6台のカメラと2台の高解像度レーダーを搭載する。このカメラとレーダーによって、後方から高速で接近する車両など潜在的な危険をライダーに知らせたり、ウインカーを操作するとダッシュボードにカメラ映像が表示するといった運転支援が行なわれる。
また、「TS ULTRA」はシングルシート仕様となっており、サスペンションはオーリンズの他にウィルバースも用意されるなどより高い走行性を発揮するための装備が与えられている。
電動バイクに革命を起こすことになるかもしれない「Verge Motorcycles」は、ヨーロッパ、イギリス、アメリカなどの11か国での発売が予定されており、価格は「TS PRO」が2万9900ユーロ(約546万円)からとなっている。
TS PRO/TS ULTRA主要諸元(2026)
・全長×全幅×全高:2264×895×1128mm
・ホイールベース:1607mm
・シート高:780mm
・車両重量:235kg
・最高出力:102kW(138.2PS)/150kW(203.9PS)
・最大トルク:1000N・m(101.97kgm)/1200N・m(122.37kgm)
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=240/45-17
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/510639/
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