クルマの点検といえば「車検」をすぐに思い浮かべる人は多いだろう。でも点検には車検以外にも実は義務付けられている点検がいくつかある。
そのうちのひとつが「12カ月点検」だ。読んで字のごとく1年おきに実施する点検のこと。毎年ディーラーなどで点検をしていますか? 実は忘れていませんか?
意外に忘れている人も多いこの12カ月点検について、今回はジャーナリストに聞いてみました。
文:大音安弘/写真:AdobeStock
■実施してますか? 愛車の法定点検
日々の安全なドライブを楽しむために重要となるのが、愛車の点検整備だ。点検整備と聞けば、真っ先に頭に浮かぶのは、車検だろう。
新車時は3年、その後2年毎に義務付けられている車検時には、24か月定期点検整備がマストとなる。しかし、信頼性の高まった現代車に置いては、その点検整備さえ、疎かにされている現実もある。
そもそもクルマは、道路運送車両法で定めた日常点検整備と定期点検整備を行うことが義務付けられている。日常点検整備とは、各部の目視と操作による基本的な点検のこと。
もちろん、問題があれば、整備を行わなくてはならない。もうひとつの定期点検整備は、自家用乗用車では、標準的な使い方の場合、12か月毎に義務付けられている。
この目的は、故障を未然に防ぐためだけでなく、クルマから排出される有害ガスを出来るだけ少なくし、公害を防ぐ目的もある。
しかし、車検は、あくまで検査時点で、国の定めた基準をクリアしているかを認めるだけのこと。安全な運行には、点検整備は欠かせないものだが、もし点検整備を怠っても、法的な罰則はない。
このため、きちんと整備しているつもりでも、悪意なく、車検時以外の12か月点検整備を怠っている人も多いのだ。
■あなたのクルマも「シビアコンディション」かも
12か月点検整備が軽視される要因のひとつが、現行車の信頼性の高さだろう。突然のトラブルに見舞われるケースは、本当に少なくなった。ただ日常での使用でも、気が付かずに、愛車を痛めつけている可能性は十分にある。
各社の点検整備簿には、最小限となる法定点検整備に加え、各社独自が定める必要な点検整備が記載されている。その中に記される、厳しい条件下の使用基準が「シビアコンディション」だ。
悪路走行、多走行、山道など、クルマの負荷が大きい環境下で、多く使われたものが該当するのだが、そこに短距離走行の繰り返しも含まれる。
具体例として、スバルの整備記録簿を参照すると、「1回の走行が8km以内の繰り返し」とある。これなら、日々の送迎や買い物に使用するクルマは、ほぼ該当するだろう。
シビアコンディションに該当する場合は、その状況に合わせ、検査整備の項目が追加されることになる。
■12カ月点検未実施でひょっとすると、実害も……
法的視点だけでなく、12か月点検整備を怠ったことで実害が出るケースもある。新車保証や延長保証の適用条件として、該当車が独自の点検整備項目を含め、法定点検整備をきちんと実施していることを条件としているからだ。
もしトラブルが、整備不良が原因と判断されれば、本来受けられる保証の対象外となる可能性があるので注意が必要だ。
ただ昨今は、定期点検整備を標準付帯されることやオイルなどの消耗品とセットとすることでお得なメンテナンスパックを提供するされることも多い。そのため、自然と厳守できているユーザーも多いようだ。
クルマは、多くのパーツの集合体であり、それらが協調することで機能している。一部パーツの劣化が、やがてクルマ全体へ悪影響を及ぼすこともある。
維持費を抑えるためにも、定期点検整備の意義が、法的義務だけでなく、愛車への労わりとなることも覚えていて欲しい。
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