名古屋に新しく走り出した新交通システムとしてSRTを紹介したが、名古屋には全国唯一ここだけという交通システムがそろっている。唯一だからこその弱点も多いのだが、その変わったシステムをもつ交通機関「ゆとりーとライン」で開業周年記念イベントが開催されたので、乗車記と合わせて紹介したい。
文/写真:東出真
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■ゆとりーとラインとは?
今回の出発地は愛知県名古屋市守山区の大曽根駅である。JR中央線、名鉄瀬戸線が隣り合わせに建つ駅である。ここから乗車するのはバスではなく広義の「鉄道」(根拠法は軌道)である。大曽根駅を出ると目の前に大きな高架橋を見上げる。横の階段を上がっていくとたどり着くのが「ゆとりーとライン 大曽根駅」である。
「ゆとりーとライン」とは名古屋ガイドウェイバスが運行する路線で、大曽根から隣の春日井市にある高蔵寺駅までを結んでいる。実はこの名古屋市守山区には地下鉄の路線が唯一ない区で、近くを走るJR中央線と名鉄瀬戸線もどちらも離れた空白地帯であった。守山区の北部にあたる志段味地区は、竜泉寺街道が縦断しているのだが土地区画整理事業により住宅地への開発が進むとともに、人口が爆発的に増加した。
その結果、交通集中による朝夕のラッシュが激しく、通常15分ほどで行けるところを1時間以上かかる状態になっていた。そこで混雑を回避して安全に通勤客などを運ぶため新たな交通システムを整備することとなり、1994年には「名古屋ガイドウェイバス株式会社」が設立された。志段味線に高架が建設され2001年3月23日に「ゆとりーとライン」が開業した。
■どうして鉄道なの?
フロアは一見すると鉄道駅のようにも思えるが自動改札機などはなく、まるで往年の国鉄時代を彷彿させるようなラッチが並んでいた。係員はいないので、そのまま素通りして階段を上がっていく。ホームのように作られた乗り場に電光掲示板がぶら下がっており、手前が1番「小幡緑地・志段味交通広場行き」、奥が2番「高蔵寺・志段味交通広場行き」となっていた。
方面別で1面のホームを振り分けている。時刻表を見ると5分おきで出発しているようで、本数は多く設定されている。まずは小幡緑地へ向かうため乗り場に並んでいるとバスがやってきた。先ほど「鉄道」と書いたのだが、やってきたのは「バス」である。
この車両は「ガイドウェイバス」と呼ばれるもので、鉄道とバスの利点を組み合わせたシステムである。大曽根~小幡緑地間は高架の専用道路となっており、両側には2本のガイドレールが設置されている。よってこの道路は法律上は軌道扱いなので広義の鉄道なのである。
バスの前後には案内輪と言われる装置が取り付けられており、このガイドによりステアリング操作は不要だ。また小幡緑地~高蔵寺間は一般道を走行し、一般路線バスとして走行する新交通システムである。ガイドウェイバス志段味線と名古屋市交通局の路線バスが直通運転している形になろうか。
これによりラッシュ時には2~5分間隔の運行が可能になり、所要時間は高架区間である大曽根~小幡緑地では通常30分以上かかるところを、わずか13分で移動できる。 車両はバスにしか見えないのだが、法律では無軌条電車、つまりトロリーバスに準じた扱いである。よって鉄道の一種として分類されるため「鉄道」とも言えるわけだ。ちなみに乗務員は大型第二種の自動車運転免許に加え、無軌条電車の動力車操縦者運転免許を所持することが必須となる。








