名鉄バスは深刻化する運転士不足を解消し、地域の路線バス網を維持するため、同社初となる「小型バス専属運転士」の募集を開始する。車両を小型バスに限定することで心理的ハードルを下げ、より幅広い人財の確保と安定した運行体制の構築を目指す。本稿には令和8年5月のバス占いを付録したので、合わせて楽しんでいただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■制度新設の背景
これまで同社が実施した採用説明会で、バス未経験求職者より得られた「運転の仕事で地域社会に貢献したいが、小型バスから経験したい」「小型バスの運転ならできそう」という求職ニーズに着目し、「小型バス専属運転士」枠を新設した。
「小型バス専属運転士」は、同社の路線のほか、自治体から受託し運行する「コミュニティバス」で使用する、全長7メートルまでの小型バス車両限定で、岡崎営業所が管轄する2路線に絞り勤務する。
勤務体系は土・日・祝日休みのほか短時間勤務も可能であり、子育て中の方やセカンドキャリアを目指すシニアの方のニーズにも合致する内容としている。また「小型バス専属運転」を経て、通常のバス車両の運転やフルタイムで働ける正社員登用制度への移行も可能だ。
■制度の詳細
募集開始日は5月1日(金)からで、同社における募集区分は小型バス専属運転士(契約社員)である。なお、正社員登用制度がある。勤務営業所は岡崎営業所に限定される。担当路線は一般路線(岡崎北線、岡崎南線)で、募集人数は1名~5名。
待遇としては、時給制で1600円(研修期間中は1400円)で、その他に手当がある。勤務形態は、土・日・祝日休みで、週20時間以上40時間以下かつ1か月単位の変形労働時間制。週所定労働時間は応相談。なお支援金制度として、大型二種免許取得費用の補助があり、すでに大型二種免許を所持する者へは入社一時金がある。
■記者のオピニオン
運転士になりたい需要は一定数あり、多くの方は一般的な待遇や勤務形態については承知の上でバス運転士の道へと進んでいる。希望するバスの大きさや路線等については、個々の価値観や志望によりさまざまである。
女性や初心者は中型や大型路線車よりも小型路線車を志望する方はいる。また、路線バスを運行した経験のある方はより大型の貸切車や高速車を志望する方も多い。よって一概には言えないのだが、地域貢献やセカンドキャリアあるいはママさん運転士を目指す方にとって、小型限定で土休日が休みなのは敷居が低くなるのは確かだ。
無数にあるバス事業者を選択するにあたり、社内の雰囲気やルールは説明を受けただけでは事前にはわからない。よって、あえて契約社員やパートタイムで入社して雰囲気を確かめ、あっていると確信してから正社員と用制度を利用するのも実はよい手である。
バス事業者もただ漫然と門戸を広げるのではなく、このように具体的に働き方を限定または指定して募集すると生活や勤務リズムのイメージがつかみやすく、初心者にとってもわかりやすいのでバス運転士の入り口としては良い採用方法であるともいえる。
どの事業者も運転士が不足しているので、待遇面はもちろんのこと福利厚生や社内の雰囲気づくりまで総合的に向上しなければ運転士が集まらないことに気が付かねばならないだろう。できない理由を挙げるよりも、できることから積極的にやった事業者から運転士が集まるだろう。
現状では利益のが出る路線すらも運転士不足で減便しなくてはならない事業者が続出している。今のうちに多くの運転士を育成して、苦しい中でも利益が出る路線を増便すれば結果的に収益が改善し、運転士の待遇も暑くなることにつながるのだ。その点において、まだ満足とは言えないだろうが同社のような具体的な取り組みが広がることに期待したい。



