日産は2026年4月14日に発表した長期ビジョンのなかで、新型エクストレイルの姿を公開しました。新型では、これまで日本のみだったe-POWERモデルがようやく北米へと展開されることが明かされ、日産の電動戦略が次の段階に入ったことを印象づけています。今回のビジョンではAIを活用したモビリティの知能化も強く打ち出されるなど、日産の将来を期待できる内容が明かされましたが、一方で浮かび上がるのは、技術がてんこ盛りになるほど「手が届く選択肢」が少なくなっていくという現実です。新型エクストレイルで始まるe-POWERのグローバル展開と、日本市場における「手が届くクルマ」のあり方を考えます。
文:吉川賢一/写真:NISSAN
新型エクストレイルでe-POWERが世界へ
日産が、2026年4月14日に発表した長期ビジョンの中でその姿を公開した新型「エクストレイル」。シャープでデジタル志向を強めた外観も注目ですが、この新型エクストレイルでまず押さえておくべきなのは、北米にようやくe-POWERモデルが投入されるという点です。
現行(T33型)の「ローグ」(日本名:エクストレイル)も、パワートレインこそ北米向けがガソリンのVCターボ、日本向けがe-POWERとつくり分けられていましたが、ローグはエクストレイルよりも2年近く早い2020年に投入されており、北米市場を主軸に開発されたモデルであることがうかがえるモデルです。それが次期型では、e-POWERがグローバル展開されることで、エクストレイル/ローグにおける北米主導の開発体制がより明確となると考えられます。
エクストレイル/ローグは、今回の長期ビジョンの中で、日産の販売を支える「コアモデル」のひとつに位置づけられています。日本専用の電動パワートレインだったe-POWERが、いよいよグローバルにおいて日産の中核技術となるという、次のステージに進むことになるのです。発表会でも、e-POWERをはじめとする電動技術をグローバルに広げていく方針が繰り返し強調されており、日産としてもこの領域に相当な注力をしていく姿勢がうかがえました。
デザインと体験の進化 ただしAIには慎重な視点も
デザインについては、基本的なシルエットは現行型を踏襲しながらも、印象は確実に変わっています。従来のVモーション中心の造形から一歩踏み込み、フラットでパターン化されたフロントフェイスへと進化したことで、ひと目で新しさが伝わる顔つきになりました。この方向性は新型エルグランドにも通じるもので、ブランド全体としてデザインの軸を揃えにきている印象です。
インテリアは公式発表はまだありませんが、大きく路線を変える可能性は低そうです。現行型で評価されているディスプレイや操作関連の質感はそのままに、デジタル化をさらに進めてくる流れになると考えられます。
一方で、新たに日産が前面に打ち出した「AIを活用した新しいモビリティ体験=AIDV」については、やや慎重に見ておきたいところです。技術としては興味深いものの、実際の使い勝手とどこまで噛み合うのかは別の話。先進性が先行しすぎると、日常での扱いやすさとの間にギャップが生まれる可能性も否定できません。
気になる登場タイミングについては、北米仕様は2026年後半に登場予定とされていますが、日本仕様については2027年秋に開催されるジャパンモビリティショー前後がひとつの目安となりそうです。北米主導の開発体制の中で、日本市場にどのような価値を持ち込めるのかも注目されます。
























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