山口県防府工場での生産を終了し、2022年6月からタイ生産へと切り替わり逆輸入車となっていたマツダ CX-3が、2026年2月末日をもって日本向け分の生産を終了することが発表された。マツダの技術の結晶だったモデルを振り返る。
※本稿は2026年3月のものです
文:鈴木直也/写真:マツダ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年4月10日号
元オーナーの鈴木直也氏がその魅力を振り返る
2015年にCX-3がデビューした時、ぼくはかなりココロ揺れたね。
まず、ググッときたのがそのスタイル。全長たった4.3mなのに、ダイナミックな抑揚が巧みに表現されていて、ホントに精悍でカッコイイ。ま、ひと目惚れしたってわけだ。
前年にデミオXD(DJ系)を購入したばかりだったけど、辛抱たまらず2016年秋のマイナーチェンジを機に新車購入と相成ったのだった。
実際にデミオからCX-3に乗り換えて感じたのは、ボディやインテリアの作り込み品質の差だ。
エンジン・パワートレーンに関しては、デミオとCX-3は基本共通だから、ドライバビリティやハンドリングに関してはそんなに大きな違いはない。
エンジンは後期モデルで1.8Lになるが、ぼくが買ったのは1.5Lターボディーゼル。
“ナチュラル・サウンド・スムーザー”なんていうマニアックな騒音低減デバイスが追加されていたが、そもそもCX-3のほうが騒音対策が奢られているため、デミオからの乗り換えだと、どっちみち「すげー静かになった!」という評価は変わらない(笑)。
一番印象的だったのは、CX-3の後席ドアを閉めた時の音。デミオはBピラーより後ろは思いっきりコストを削った感があったが、CX-3はそのあたりがダンチで上質。操作系の手応えも含めて、全体にワンランク上のカチッとした手応えがある。
日常の中でふとした瞬間に「いいクルマだなぁ」と思わせる回数が明らかに増えたのだ。
そして、何より素晴らしかったのは、デザインが全然古びないこと。
もちろん燃費性能だけ見れば、最新ハイブリッドのヤリスやフィットにはかなわない。でもスタイリングの魅力や、少し背伸びした上質感、所有した時の満足度という点では、今でも充分トップレベル。
国産で「ちょっと高級なコンパクトSUV」という立ち位置をここまで明確に作れたモデルは、結局ほかには生まれなかった。
2026年2月末で日本向けの生産が終了というニュースには、寂しいというより惜しいという気持ちが強い。質感で選ばれるコンパクトとして、方向性としてはBMW MINIのような存在に育つ可能性もあったと思う。
というわけで、CX-3はぼくにとって記憶に残る、少し特別なクルマなのでございます。
CX-3に詰め込まれたマツダこだわりの技術
(1)ナチュラル・サウンド・スムーザー
革新的メカニズムを採用したノック音対策として投入された。ピストンピンに組み込まれたダンパーによって、燃焼時のコネクティング・ロッドの伸縮に伴って発生する振動を低減させるという技術。
(2)i-ELOOP
AT車にメーカーオプション設定されていた減速エネルギー回生システム。減速・ブレーキをかけた時のエネルギーをキャパシタに回収し、発電して車内の電装品に使う仕組み。
(3)ナチュラル・サウンド・周波数コントロール
周波数1.3kHz、1.7kHz、2.5kHz付近で発生するノック音を、0.1ミリ秒単位で燃料噴射タイミングをコントロールすることで、構造形共振の周波数ピークと、燃料加振力の周波数の谷を重ね、それによりお互いの振動を打ち消すという技術。
●マツダ CX-3 XD(FF)主要諸元
・全長×全幅×全高:4275×1780×1550mm
・ホイールベース:2570mm
・車両重量:1300kg
・総排気量:1756cc
・エンジン:直4ディーゼルターボ
・最高出力:130ps/4000rpm
・最大トルク:27.5kgm/1600~2600rpm
・トランスミッション:6速AT
・WLTCモード燃費:20.0km/L
・価格:331万5400円
























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