2026年9月1日に世界初公開されたレクサスNXの新型モデル。メーカーの扱いは「一部改良」だが、ボディ骨格、ハイブリッドシステム、足まわり、内外装、安全装備まで変更され、その内容はフルモデルチェンジ級だ。なぜ現行型をここまで造り直したのか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:トヨタ、レクサス
【画像ギャラリー】新型レクサス NXココまで変わったか!! マイチェン前と写真比較!(16枚)画像ギャラリー電動化の進化にはボディの造り直しが必要だった
現行レクサスNXが登場したのは2021年。GA-Kプラットフォームを採用し、レクサス初のPHEVを設定するなど、「次世代レクサスの第1弾モデル」として開発されたクルマである。
登場から約5年を迎えた2026年、一般的なモデルサイクルならマイナーチェンジの時期だ。しかし、レクサスが発表した変更内容は、フロントマスクや装備を変えるだけのものではなかった。レクサスの公式発表では「新世代プラットフォーム」という表現まで使われている。
もっとも、全幅1865mm、全高1660mm、ホイールベース2690mmは現行型と変わらない。公開情報を見る限り、車台をまったく別のものへ変更したのではなく、従来のGA-K系プラットフォームを大幅に進化させたと考えるのが自然だ。
具体的にはフロントとリアを補強したうえで、フロアクロスを追加し、センタートンネルの稜線部も強化。フロア剛性を約25%、サスペンションタワー剛性を約30%高めた。さらにエンジンブロックの形状を変え、エンジンとトランスアクスルの締結剛性にも手を入れている。
ここまで骨格を造り直した大きな理由が、ハイブリッドシステムの刷新だ。新型ではトランスアクスル、モーター、PCUを一体化した小型・軽量のe-Axleを採用。インバーターのパワー素子には、電力損失の少ないSiCを使うことで、燃費と動力性能を向上させる。
NX450h+には、出力が8%、容量が30%向上した新開発バッテリーを搭載。セルの配置方向を従来の前後方向から横方向へ変更し、搭載位置も下げた。この変更はEV航続距離を延ばすだけでなく、ボディの横剛性向上と低重心化にも貢献する。
つまり今回のNXでは、電動化部品だけを新しくするのではなく、新しいシステムの性能を引き出すためにボディ側まで造り直したわけだ。NX450h+のEV航続距離は、日本向けの暫定値で140km超。現行型の87kmから大幅に延び、DC急速充電にも対応する。
NXは新しいレクサスを示す“基準車”だった
もうひとつの理由は、NXがレクサスにとって極めて重要な主力車であることだ。
NXは2014年の初代登場以来、2026年7月末までに90以上の国と地域で累計約190万台を販売している。扱いやすいサイズとSUVらしい実用性を備え、世界のユーザーがレクサスへ入る“入り口”にもなってきた。
しかも、現行型は新世代レクサスの幕開けを担ったモデルだ。そのNXが古さを見せれば、ブランド全体の印象にも響く。次のフルモデルチェンジを待つのではなく、現行型を大改良して新しいレクサスの基準へ引き上げる必要があったのだろう。
走りの改良にも、その意図が表れている。サスペンションには、わずかな動きにも減衰力を発生させる極微低速バルブ付ショックアブソーバーを新採用。ステアリングホイールを10mm小径化し、操舵角によってギア比が変わるバリアブルラックギアも組み合わせた。
E-Fourは発進時や旋回時だけでなく、直進時にも後輪をモーターで駆動する常時AWD制御へ進化。新たなブレーキ制御によって、急な車線変更後の車体の揺れも素早く収束させる。開発では下山のテストコースに加え、ニュルブルクリンクと周辺道路、200km/hを超えるアウトバーンでも走り込んだという。
内外装も、商品寿命を延ばすだけの化粧直しにはとどまらない。フロントは灯火類をグリルへ融合させ、リアにはレクサス初のダブルLシグネチャーを採用。室内では12.3インチ液晶メーターと14インチディスプレイを水平に並べ、光、音楽、空調、シート温度、香りを連携させる「センサリーコンシェルジュ」まで導入した。
安全装備には、高速道路などで運転手の異常を検知すると路肩へ寄せて停車する機能も追加される。パワートレーンから香りの演出まで、手を付けていない部分を探すほうが難しいほどだ。
今回の大改良は、現行型に延命処置を施したものではない。電動化時代のレクサスに求められる走り、快適性、先進性を、主力モデルであるNXへ一気に盛り込んだのである。「一部改良」という言葉に惑わされてはいけない。中身を見れば、新型NXはフルモデルチェンジに限りなく近い進化を遂げている。
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