交差点でバイクが直進しているところへ、対向するクルマが右折してきて衝突する「右直事故」。バイクの死亡事故のなかでも、特に注意したい事故パターンのひとつです。
警察庁のデータを見ると、二輪車の車両相互事故では「右折対直進」が多く、そのなかでもバイクが直進中にクルマなど相手車両が右折して事故になるケースが目立ちます。
なぜ、右折するクルマは、こちらから見ると明らかに見えているバイクに気付かず曲がってくるのでしょうか。今回は、バイクの右直事故が起こる主な原因と、ライダー側が事故を避けるために意識したいポイントを紹介します。
バイクの右直事故は死亡事故にもつながりやすい
警察庁が公表している「二輪車の安全利用の促進」では、2021年(令和3年)から2025年(令和7年)までの5年間におけるバイクの死亡事故に関する以下のようなデータがあります。
【二輪車乗車中死者数】
・2369人(令和3年~令和7年合計)
【二輪車乗車中の事故類型別死者数(令和3年~令和7年合計)】
・車両相互:1549人(65.4%)
・車両単独:805人(34.0%)
・その他(人対車両・列車):15人(0.7%)
【二輪車乗車中における車両相互事故の事故類型別死者数(第1・第2当事者、令和3年~令和7年合計)】
・1位:右折対直進:469人(31.0%)
(内訳:二輪車直進401人、二輪車右折68人)
・2位:出会い頭:430人(28.4%)
・3位:正面衝突:207人(13.7%)
これらによれば、2021年から2025年で、二輪車乗車中の死者数は合計2369人。このうち、車両相互事故による死者は1549人で、全体の65.4%を占めます。
さらに車両相互事故(第1・第2当事者)を事故類型別に見ると、最も多いのが「右折対直進」で469人。内訳は、バイクが直進中の事故が401人、バイクが右折中の事故が68人です。
つまり、右折対直進の死亡事故では、バイクが直進しているケースが約85%を占めているのです。警察庁も、二輪車が直進中に相手車両が右折してくる事故について注意を呼び掛けています。
右直事故は、バイク側が交通ルールを守って直進していても、対向車の右折によって突然発生する可能性があります。ライダーとしても、交差点では「右折車がこちらに気付いていないかもしれない」と考えておくことが大切です。
なぜ右折車はバイクを見落とすのか?
右直事故の原因として考えられるのが、右折するドライバーによるバイクとの距離感の判断ミスです。
バイクはクルマに比べて車体が小さいため、ドライバーから見ると実際よりも遠くにいるように感じられる場合があります。
たとえば、対向車線を走ってくるバイクを見て「まだ距離があるから右折できる」と判断して右折を開始したものの、実際にはバイクが思った以上に近づいていて衝突する、といったケースです。
警察庁も、二輪車は実際より遠くに感じられるため、二輪車との正しい距離を把握することが重要だとしています。
特に小型のスクーターや車体が細身のバイクは、クルマのドライバーから小さく見えることがあります。
また、バイクの速度が高い場合も注意が必要です。
警察庁の2023年の分析では、右折対直進の死亡事故について、直進車が自動二輪車だった場合の危険認知速度の平均は72.3km/h。一方、直進車が乗用車・貨物車だった場合は63.4km/hでした。
ここでいう「危険認知速度」とは、事故当事者が相手の車両や人などを認め、危険を認知した時点の速度を指します。ブレーキやハンドル操作など、事故回避行動を取る直前の速度で、危険を認知しないまま事故に至った場合は事故直前の速度です。
もちろん、これらの数字だけで「速度が高いバイクほど右直事故に遭う」と断定することはできません。しかし、速度が高ければ、右折車を発見してから停止するまでの距離も長くなります。
右折車が出てくる可能性がある交差点では、周囲の状況に応じて速度を抑え、いつでも対応できる状態にしておきたいところです。
バイクが右折車から見えていないケースも
右折車からバイクが常に見えているとは限りません。
たとえば、対向車線を走るクルマの後ろからバイクが接近している場合、右折待ちをしているドライバーからは、対向車によってバイクが隠れてしまうことがあります。
対向車が右折車に道を譲るために停止した場合も同様です。
対向車の陰からバイクが現れる可能性を右折車のドライバーが認識していなければ、そのまま右折して衝突する危険があります。
また、渋滞中の車列の横をバイクがすり抜けている場合も、右折車からは見えにくくなることがあります。
このように、ライダーからは「相手からこちらが見えている」と思えても、実際にはクルマの死角に入っている可能性もあります。
右直事故を防ぐには「かもしれない運転」を
では、ライダー側は右直事故を防ぐために、どんなことを意識すればいいのでしょうか。
まず大切なのは、交差点に右折待ちのクルマがいたら、「このクルマは右折してくるかもしれない」と考えることです。
右折車が停止しているからといって、「こちらを認識しているはず」と決めつけるのは危険です。
右折車の動きを確認しながら、必要であれば速度を落とし、いつでもブレーキ操作ができるようにしておきましょう。Webikeプラスでは以前にも、右折待ちのクルマへの備え方 を紹介しています。
また、前方の一点だけを見るのではなく、できるだけ広い範囲を見ることも重要です。
右折車だけでなく、信号や周囲のクルマ、自転車、歩行者などの動きを確認しておけば、突然の危険にも対応しやすくなります。
特に、対向車の陰から別のバイクやクルマが出てくる可能性がある交差点では注意したいところです。
すり抜けにも注意したい
渋滞している交差点などで、クルマの左側をすり抜けて前に出る走り方にも注意が必要です。
クルマの側面を走っているバイクは、右折しようとする対向車から見えにくくなる可能性があります。
また、自分と同じ方向に進んでいるクルマが、交差点などで突然左折することも考えられます。
「自分のバイクが周囲のクルマから見えているか」を常に意識し、死角に入りそうな状況では無理に前へ出ないことも、事故を避けるためのひとつの方法です。
自分が右折するときも直進車に注意
右直事故というと、「直進するバイクに右折車が突っ込んでくる」というイメージが強いかもしれません。
しかし、ライダー自身が右折する場合も、対向車には注意が必要です。
信号が青になったからといって、対向車が必ず停止するとは限りません。信号を無視して交差点へ進入してくるクルマなどが存在する可能性もあります。
右折矢印が青になった場合でも、対向車線からクルマやバイクが進入してこないかを確認してから右折を開始すると、より安全です。
交差点では少しだけ警戒を強めよう
右直事故を完全に防ぐことは難しいものです。
しかし、「右折車がこちらに気付いていないかもしれない」「対向車の陰からバイクが出てくるかもしれない」と意識しておくだけでも、危険を発見したときの対応は変わってきます。
交差点では右折車の動きをよく確認し、必要に応じて速度を落とす。そして、いつでもブレーキなどの操作ができる状態をつくっておく。
ツーリングだけでなく、通勤や買い物などで普段からバイクに乗る際も、こうした「かもしれない運転」を意識しておきたいところです。
普段はバイクを楽しみながら、交差点などの要注意ポイントでは少しだけ警戒を強める。そんなメリハリのある走りを心掛けましょう。
*写真はすべてイメージです
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/596864/
バイクの右直事故はなぜ多い?命を脅かす右折車の「見落とし」防御策【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/596864/596880/







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