175万円差は取り戻せる!? クラウンエステートZとRSはどちらを選ぶべきか

175万円差は取り戻せる!? クラウンエステートZとRSはどちらを選ぶべきか

 クラウンエステートは、635万円のハイブリッドZと810万円のPHEV・RSというシンプルな2グレード構成だ。その価格差は175万円。RSには85万円のCEV補助金もあるが、それでも差は小さくない。商品改良を控えた現行型で、どちらがベストなのか考えてみよう。

文/写真:ベストカーWeb編集部

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85万円の補助金を入れると実質差は90万円!

ワゴンとSUVを融合させたダイナミックで伸びやかなデザインが特徴
ワゴンとSUVを融合させたダイナミックで伸びやかなデザインが特徴

 クラウンエステートのZは、2.5Lエンジンを中心としたハイブリッドシステムを搭載し、価格は635万円。対するRSは、大容量リチウムイオンバッテリーを積む2.5Lプラグインハイブリッドで、価格は810万円となる。

 カタログ価格の差は175万円だが、RSは85万円のCEV補助金の対象だ。予算や登録時期などの条件を満たして補助金を受け取れれば、実質的な価格差は90万円まで縮まる。

 ただし、この90万円を電気代とガソリン代の差だけで取り戻すのは簡単ではない。

 RSの充電電力使用時走行距離はWLTCモードで89km。交流電力量消費率は167Wh/kmだから、自宅で充電できれば日常の移動の多くを電気だけでこなせる。電気料金を1kWhあたり31円とすると、1km走るための電気代は約5.2円だ。

 一方、ZのWLTCモード燃費は20.3km/L。レギュラーガソリンを1Lあたり165円とすれば、1kmあたりの燃料代は約8.1円となる。年間1万kmを走った場合、RSが全距離をEV走行できたと仮定しても、エネルギー代の差は年間約3万円である。

 実質差90万円を埋めるには、単純計算で約30年かかる。実際には長距離走行などでRSのエンジンも使うため、差を取り戻す期間はさらに延びる。自宅充電器の設置費用まで考えれば、経済性だけを理由にRSを選ぶのは難しい。

 しかも、RSの車両重量は2080kgで、1890kgのZより190kg重い。バッテリーを使い切ったあとの燃費はRSが20.0km/L、Zが20.3km/Lと大差ないため、充電せずに乗るならPHEVのメリットをほとんど生かせない。

RSは電動性能と専用装備に90万円を払えるか

アイランドアーキテクチャーを基調とし、先進性と上質さを両立している
アイランドアーキテクチャーを基調とし、先進性と上質さを両立している

 それでもRSには、燃料代だけでは測れない魅力がある。最大の違いは、アクセルを踏んだ瞬間から力強く、滑らかに加速するPHEVならではの走りだ。日常は静かなEVとして使い、遠出ではエンジンを併用して充電切れを心配せずに走れる。

 普通充電だけでなく急速充電にも対応し、V2Hを利用すればクルマに蓄えた電気を家庭へ供給することも可能だ。両グレードともAC100V・1500Wのアクセサリーコンセントを備えるが、家庭との間で電力をやり取りできる点はRSならではである。

 走りの装備にも差がある。RSはフロントに20インチ対向6ピストンアルミキャリパーを採用し、前後のキャリパーをレッドに塗装。マットブラックの21インチホイールやディンプル加工の本革ステアリング、本革シフトノブも備え、見た目にも最上級モデルらしい。

 後席の乗り心地を重視したリヤコンフォートモードや後席シートヒーター、荷室で使えるデッキチェアとデッキテーブルもRSに用意される。専用のグレイッシュブルー内装を選べることも大きな魅力だ。

 一方のZも、決して装備を削った廉価版ではない。134kW(182ps)のフロントモーターと40kW(54ps)のリアモーターを備え、全車E-Four。DRSによる後輪操舵、電子制御サスペンション、21インチタイヤ、本革シート、前席シートヒーター&ベンチレーション、カラーヘッドアップディスプレイも標準となる。

 さらにトヨタ チームメイトのアドバンスト パークや渋滞時支援、12.3インチディスプレイ、10スピーカーのトヨタプレミアムサウンドシステムも装備する。635万円という価格だけを見れば高価だが、クラウンとして欲しい快適装備や先進機能はZにもほぼそろっている。

 クラウンエステートは2026年末の商品改良を予定している。しかし、現行型は2025年3月に登場したクラウンファミリー最後発のモデルであり、商品改良前でも中身は十分に新しい。特にZは標準装備が充実しており、現行型だからといって商品力が大きく見劣りすることはない。

 結論として、価格と装備のバランスで選ぶならZが本命だ。自宅充電が難しい人や、PHEVに強いこだわりがない人なら、175万円安いZで十分満足できる。

 RSが向くのは、自宅で充電でき、89kmのEV走行を日常的に使い切れる人だ。さらに力強い電動走行、急速充電やV2H、強化ブレーキ、専用内装まで含めて魅力を感じるなら、補助金適用後の実質90万円差には納得できるだろう。

 つまりRSの価格差は、燃料代だけで取り戻すものではない。PHEVならではの走りと電気のある暮らし、専用装備による満足感まで含めて“元を取る”グレードなのである。

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