ワゴンとSUVを融合したクラウンエステートは、通常時でも570L、後席を格納すると1470Lという大容量の荷室を備える。しかも床面は長さ2mの完全なフルフラットだ。高級感、積載力、走行性能を兼ね備えたクラウンエステートは、国産最強の高級ワゴンと呼べるのか?
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】え、広すぎん!? クラウンエステートの衝撃すぎトランクがコレ(6枚)画像ギャラリー570Lの荷室が後席格納で1470Lに拡大!
クラウンエステートのボディサイズは、全長4930mm、全幅1880mm、全高1625mm。クラウンスポーツより全長が210mm長く、低く伸びやかなルーフラインと大きな荷室を持つ。
通常時の荷室容量は570L。国産ワゴンを代表するスバル レヴォーグが、床下のサブトランクを含めて561Lだから、クラウンエステートは後席に5人が乗れる状態でもトップクラスの積載力を備えている。
さらに後席を倒すと、荷室容量は1470Lまで拡大する。大型スーツケースやキャンプ用品をまとめて積み込むのはもちろん、前輪を外せばスポーツ自転車を車内に収めることも可能だ。
このクルマの見どころは、数字上の容量だけではない。後席格納時にはトヨタ初の「ラゲージルーム拡張ボード」が展開され、荷室から前席後方まで長さ2mの完全にフラットなスペースが生まれる。
一般的なワゴンやSUVでは、後席を倒しても背もたれ部分に傾斜や段差が残ることがある。対するクラウンエステートは、マットを敷けば大人が横になれるほど平らな床面を実現した。荷物を載せるだけでなく、車内でくつろぐ場所として使うことまで考えられている。
PHEVのRSも荷室容量は変わらない。大容量リチウムイオンバッテリーを床下に収めたことで、ハイブリッドのZと同じ広さを確保している。電動車ではバッテリーによって荷室が狭くなる場合もあるが、クラウンエステートならその心配はない。
荷室床面には、クラウンらしい肌触りのいい上質な素材を採用。ハンズフリーパワーバックドア、トノカバー、AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントも標準装備する。
RSにはデッキチェアとデッキテーブルも用意される。荷室床下から引き出してクルマの横へ設置すれば、出先で休憩したり、景色を眺めながらコーヒーを飲んだりできる。単に荷物がたくさん載るだけでなく、その先の遊び方まで提案しているのがクラウンエステートらしい。
積載力だけでなく「移動の質」までトップクラス
では、クラウンエステートは国産最強の高級ワゴンと呼べるのだろうか。
現在の国産車では、ステーションワゴン自体が希少になった。マツダ6ワゴンは国内販売を終了し、スバル レヴォーグは全長4770mm級、カローラツーリングは4500mm未満と、クラウンエステートよりひとまわり以上コンパクトだ。
レクサスにも現在ステーションワゴンは設定されていない。国産の大型高級ワゴンというカテゴリーに限れば、クラウンエステートはほぼ唯一の存在といっていい。
もちろん、積載量だけなら背の高い大型SUVやミニバンが上回る場合もある。しかしクラウンエステートは、荷室の広さと低く伸びやかなスタイル、上質な乗り心地を同時に成立させている。
後輪操舵システムのDRSを全車に採用し、全長4930mmの大柄なボディながら最小回転半径は5.5m。低速ではリアタイヤを前輪と反対方向へ動かして小回りを助け、高速では前輪と同方向へ操舵して安定性を高める。
さらに電子制御サスペンションのAVSを備え、長距離でも疲れにくい落ち着いた乗り味を追求した。PHEVのRSには、後席を含めて揺れを抑えるリヤコンフォートモードも設定される。荷物をたくさん積んで遠くへ出かけるという、ワゴン本来の使い方に適した走行性能である。
パワートレーンは、635万円のZが2.5Lハイブリッド、810万円のRSが2.5L PHEVだ。どちらも前後モーターによるE-Fourで、雪道や雨天時にも安定した走りが期待できる。ZのWLTCモード燃費は20.3km/L、RSは89kmのEV走行にも対応する。
弱点を挙げるなら、全幅1880mmのボディは狭い駐車場で気を使うことだ。全高も1625mmあるため、高さ制限1550mmの機械式立体駐車場には入らない。また、荷室の上質な仕立ては魅力だが、泥の付いたアウトドア用品を気軽に放り込むには少々もったいなく感じる。
それでも、通常時570L、最大1470Lという荷室、長さ2mのフルフラット床、クラウンらしい快適性を一台で実現した商品力は圧倒的だ。2026年末には商品改良が予定されているものの、この広大な荷室と基本パッケージの価値が古くなるわけではない。
絶対的な荷室容量だけを競えば、ミニバンや大型SUVに軍配が上がる。しかし「高級ワゴン」という条件なら、クラウンエステートは国産最強候補で間違いない。荷物だけでなく、乗る人と過ごす時間まで上質に運ぶ。それこそが、このクルマの最大の強みなのである。
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