スペーシアHYBRID GのWLTCモード燃費は25.1km/L。ところが19万5800円の全方位モニター付き純正ナビを装着すると、諸元表の燃費は23.9km/Lになる。わずか10kgの重量増で、なぜ1.2km/Lも悪化するのか。答えは実燃費より、燃費認証の区分にあった。
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】スズキ純正ナビいいんです!! CarPlayもワイヤレスでいけるゾ(5枚)画像ギャラリー25.1km/Lは850kgのオーディオレス仕様の数値
現行スズキ スペーシアは全車にマイルドハイブリッドを搭載し、背の高い軽スーパーハイトワゴンながら優れた燃費性能を実現している。
なかでも最も燃費がいいのが、153万100円から購入できるHYBRID Gの2WDだ。WLTCモード燃費は25.1km/Lで、市街地モード23.1km/L、郊外モード26.5km/L、高速道路モード25.2km/Lとなる。
ところが諸元表をよく見ると、25.1km/Lという数値にはカッコ書きで23.9km/Lという別の燃費が併記されている。こちらは「全方位モニター付メモリーナビゲーション・スズキコネクト対応通信機装着車」の数値である。
同じHYBRID Gの2WDでも、オーディオレス仕様は25.1km/L、メーカーオプションの純正ナビ装着車は23.9km/Lになる。その差は1.2km/L、割合にすると約4.8%だ。
19万5800円のメーカーオプションには、9インチHDディスプレイのメモリーナビに加え、前後左右のカメラを使った全方位モニター、スズキコネクト対応通信機、SOSボタンなどが含まれる。
これらの機器が追加されるため、HYBRID Gの車重は850kgから860kgへ10kg増える。しかし、わずか10kgの重量増だけで燃費が約4.8%も悪化すると考えると、どうにも腑に落ちない。実はここで知っておきたいのが、カタログ燃費を認証・公表する際の区分である。
860~910kgの仕様はまとめて23.9km/Lとなる
クルマの型式は、たとえば現行スペーシアのNA・2WD車なら「5AA-MK94S」と表記される。ただし、同じ型式であっても、グレードや装備によって車重や仕様は異なる。
そこで型式の後には「類別区分番号」という4桁の番号が設定される。同じ型式のクルマを、エンジン、駆動方式、装備、車重などの違いによって細かく分類するための番号だ。
国土交通省が公表しているスペーシアの燃費データを見ると、車重850kgのHYBRID G・2WDは類別区分番号「0001」として独立し、25.1km/Lという燃費値が与えられている。
一方、「0002~0006」はひとまとめとなり、車重は860~910kg、燃費は23.9km/Lと公表されている。このなかには、純正ナビを装着して860kgとなったHYBRID Gだけでなく、880kgのHYBRID X、890kgのスペーシアカスタムHYBRID GS、910kgの同HYBRID XSなどが含まれる。
つまり、スペーシアのNA・2WD車では、850kgの最軽量仕様だけが25.1km/Lの区分に入り、それより重い860~910kgの各仕様には共通して23.9km/Lが適用されているのだ。
ここで重要なのは、850kgから860kgになった瞬間、物理的に燃費が1.2km/L悪化するという意味ではないことだ。まして「850kgを1kgでも超えたら、必ず燃費が急落する」という一般的な境界線が存在するわけでもない。
WLTCモード燃費は、決められた速度パターンに従い、シャシーダイナモメーターと呼ばれる試験装置の上で測定される。その認証結果は、同じ型式のなかでも仕様や類別区分番号のまとまりごとに適用される。
スペーシアの場合、850kgの「0001」と、860~910kgの「0002~0006」で公表上のまとまりが分かれている。純正ナビを装着したHYBRID Gは、車重が10kg増えたことで後者に入り、同じグループに適用される23.9km/Lが諸元表へ記載されるのである。
もし10kgの重量増だけで燃費が1.2km/L落ちるなら、860kgと910kgではさらに大きな差が出るはずだ。ところが両者の燃費表示は同じ23.9km/L。この事実からも、1.2km/Lの差が車重に比例して生じたものではなく、認証上のグループが切り替わった結果であることが分かる。
もちろん、カメラや通信機器による消費電力と10kgの重量増が、実燃費にまったく影響しないわけではない。ただし実際の燃費は、乗員や荷物、気温、エアコンの使用、渋滞、道路の勾配などでも大きく変動する。純正ナビを付けただけで、日常の実燃費が必ず1.2km/L悪化するとは考えにくい。
仮にカタログ値どおりの差が出たとしても、年間1万km、レギュラーガソリン165円/Lで燃料代の差は約3300円である。
結論として、25.1km/Lは850kgのオーディオレス仕様に与えられた最軽量車の燃費値であり、純正ナビの消費電力によって燃費が1.2km/L落ちるという話ではない。全方位モニターやスズキコネクトが必要なら、燃費表示の差を理由に諦める必要はない。反対に、それらを使わず燃費と価格を最優先するなら、850kgのオーディオレス仕様がスペーシア本来の軽さを最も生かせる選択となる。
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