ボルボはバッテリーEVトラックの展開を連結総重量80トンの長大なコンビネーションまで拡大する。昨年スウェーデンは、連結全長を最大34.5メートルまで認める規制緩和を行なっているが、こうした大量輸送においても電動化が可能になりそうだ。
また、今年4月に発表した新世代BEVトラックについても量産が開始され、電気による輸送がいっそう実用的なソリューションになっている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo
ボルボ、連結総重量80トンの電気トラックをローンチ
ボルボトラックスはIAAトランスポーテーション2026にあわせて、長い航続距離と80トンに達する連結総重量(GCW)を実現したバッテリーEV(BEV)トラックを発表した。電気による輸送の新たなベンチマークになるという。
同社は今年、新世代のBEVトラックを発表している。これに続いて発表されたのが、GCW80トンというトラック・トレーラの長大なコンビネーションを前提とするBEVトラックだった。航続距離と積載量を兼ね備え、より厳しい輸送業務においても電動化の道を切り開く。
同社の製品マネジメント担当上級副社長のヤン・ヘルムグレン氏は次のように話している。
「超重量の長距離輸送に特化したゼロエミッションのトラックを新たに発表できることを誇りに思います。急速充電機能を含め、多くのお客様に関心を寄せていただけると確信しています」。
発表されたトラックは、リジッド(単車)の大型トラックとセミトレーラを第五輪ドーリーにより連結する「ノルディック・コンビネーション」という、主に北欧で普及している長大トレーラの構成になっていた。
北欧は長大トレーラの本場で、大量輸送のために様々な組み合わせが登場している。長い余談となってしまうが、欧州の長大トレーラについて補足すると、連結全長16.5メートルの「トラクタ+セミトレーラ」が基本となるのは日本と同じで、セミトレのキングピンからリアまでの距離は最大12メートルだ。
欧州モジュラーシステム(EMS)というモジュール化された組み合わせを前提に、一部市場では連結全長25.25メートルが許可されている。「ユーロコンビ」「EMS1.0」など様々な呼び方があり、組み合わせも複数あるが、セミトレーラ+センターアクスルトレーラという構成が代表的だ。日本の「ダブル連結トラック」(全長25メートル)もこれを参考にしている。
いっぽう北欧などではセミトレーラ2台分に相当するさらに長大な構成が許可されており、スウェーデンでは2025年4月に5種類のコンビネーションについて連結全長34.5メートルまで緩和された。ノルディック・コンビネーションもその一つで、単車トラックとコンバータードーリー(第五輪を架装する台車)をドローバー(けん引棒)でつなぎ、第五輪を介してセミトレを連結する「Aコンビネーション」という連結方法となる。
他に、トレーラの後ろに第五輪を架装するリンクトレーラ(この連結方法を「Bコンビネーション」という)や、ドローバーを備えるセンターアクスルトレーラを多重連結の「モジュール」として活用しており、こうした組み合わせを総称して「HCT」や「EMS2.0」などと呼んでいる。
なお、スウェーデンで他に全長が緩和されたのはAダブル(Aコンビによる「セミトレーラ+セミトレーラ」)、Bダブル(Bコンビによる「リンクトレーラ+セミトレーラ」)、Cダブル(「単車+センターアクスル+センターアクスル」)、ABダブル(AコンビとBコンビの組み合わせで「単車+リンクトレーラ+セミトレーラ」)だ。いわゆるフルトレは、EMSの登場により欧州ではほとんど姿を消している。

話を戻すと、ノルディック・コンビネーションでは珍しくないGCW64トンという編成だと、新型BEVトラックの航続距離は最大450kmとなる。スウェーデンとフィンランドではHCTのGCWはそれぞれ74トン/76トンまで認められており、この場合は420kmとなるという(ちなみに欧州はゼロ排出車に最大4トンの重量緩和を認めており、これを含めると最大で80トンを許容する計算になる)。
運行できる市場は限られるが、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、オランダ、スイスで段階的に販売を開始することにしている。
パワートレーンは4月に発表した新世代のBEVトラックと同じで、優れた走行性能とスムーズなギアチェンジを実現している。充電はメガワット充電システム(MCS)とCCS方式に対応し、バッテリー有効容量は640kWh。
この新しい組み合わせのため、ボルボはハブリダクションアクスルを導入した。単車とトレーラを組み合わせるAコンビでは、ドローバー用の連結装置を架装するアクスル下の地上高を高くする必要があるためだが、木材輸送や建設用では高床化はかえって有利に働くという。
