ついに復活した三菱 パジェロ。その成り立ちはピックアップトラックのトライトンと深い関係にあるが、パワートレーンを見ると興味深い違いがある。トライトンが6速ATなのに対して、新型パジェロは新開発の8速ATなのだ。わざわざ2段増やした理由を考えてみよう。
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】内装の質感よ!! 歴代最強の新型パジェロが売れるの確定すぎるワケがコレ(5枚)画像ギャラリートライトンの6ATをそのまま使わなかった!
新型パジェロが搭載するのは2.4L直列4気筒クリーンディーゼルターボ。トライトンと同じ2.4L級ディーゼルを使うが、中身はそのまま移植したわけではない。
日本仕様のトライトンは、2つのタービンを回転域に応じて使い分ける2ステージターボを採用し、最高出力204ps、最大トルク470Nmを発生。これにスポーツモード付き6速ATを組み合わせる。三菱によれば、この6ATは先代でも実績を積んだトランスミッションである。
いっぽう新型パジェロは、ワイドレンジのシングルVGT(可変容量ターボ)を採用した専用開発の2.4Lディーゼルを搭載。最大トルクは480Nmと、トライトンを10Nm上回る。そして組み合わされるのが、新開発のスポーツモード付き8速ATだ。
同じ2.4Lディーゼルを積む兄弟分なのだから、実績のあるトライトン用6ATを流用すれば開発コストも抑えられそうなもの。それでも8ATを新たに用意したところに、新型パジェロの狙いが見えてくる。
まず大きいのが、変速段数を増やすことで各ギヤのつながりを細かくできることだ。
ディーゼルは低回転から大トルクを発生するいっぽう、ガソリンエンジンほど高回転まで引っ張るタイプではない。そこで8段のギヤを細かくつなげれば、エンジンのおいしい回転域を使いながら速度を上げやすい。
新型パジェロの8ATではロー側を低くするとともに変速比幅を広げ、高速巡航時の静粛性や燃費、変速ショックの低減も狙っているという。発進では力強く、高速道路ではエンジン回転を抑えて静かに走る。まさに8速化のメリットを両端で使っているわけだ。
8ATは「高級SUVになったパジェロ」の象徴か
もちろん8ATの恩恵は舗装路だけではない。
悪路ではアクセルを大きく踏み込んで勢いで突破するより、タイヤを滑らせないよう必要な駆動力をじわりと引き出したい場面も多い。ロー側を細かく使える8ATなら、480Nmという大トルクを扱いやすくできる。
新型パジェロにはスーパーセレクト4WD-IIに加え、S-AWCやNORMAL、GRAVEL、SNOW、MUD、SAND、ROCKなど7つのドライブモードも備わる。8ATもこうした制御と組み合わせることで、オンロードから本格的な悪路までドライバーの操作に忠実な加速を目指している。三菱自身も、新8ATについて滑らかな変速と静粛性の向上をうたっている。
ではトライトンの6ATが古いのかといえば、そういう話でもない。
トライトンはそもそも世界各地で仕事にも使われる1トンピックアップ。高い耐久性や信頼性が重要であり、470Nmを受け止める実績ある6ATは、その用途にしっかり適合している。
対する新型パジェロは、悪路走破性に加えて「Prestige=威厳、上質さ」を新たな柱に据えた三菱のフラッグシップSUVだ。フロントだけでなくリアドアにも遮音ガラスを使うなど、高速道路を長時間走る際の静粛性や快適性にも徹底してこだわった。
つまり2段多い8ATは、単に「数字を増やした」装備ではない。低速の悪路では大トルクを繊細に使い、高速道路では静かで滑らかに走る。その両方を高いレベルでこなすための選択なのだ。
トライトンをSUV化しただけではパジェロにならない。新開発8ATは、新型パジェロが単なる“トライトンの兄弟車”ではなく、三菱の新たなフラッグシップとして作り込まれたことを示す、意外に重要なメカなのである。
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