4WDのパジェロなのに、普段は後輪だけで走れる!? 新型パジェロが受け継いだ「スーパーセレクト4WD-II」には、フルタイム4WDの4Hだけでなく、後輪駆動となる2Hがしっかり残されている。高度な4WD制御を持つ2026年の新型車に、なぜわざわざ2WDが必要なのか。ここにはパジェロならではの思想がある。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、三菱、土屋勇人
【画像ギャラリー】新型パジェロの走行ショットをチェック! 発売前に期待感マシマシ!?(12枚)画像ギャラリー4WDなのに後輪だけで走る「2H」がある!
新型パジェロの4WDシステムは、三菱伝統のスーパーセレクト4WD-II(SS4-II)。ドライバーが路面に応じて、2H、4H、4HLc、4LLcという4つの駆動モードを任意に選択できる。
このうち2Hは「2 Wheel Drive High」の意味で、駆動するのは後輪だけ。一般的な乾燥した舗装路や高速道路を経済的に走るためのモードである。
対する4Hはフルタイム4WD。センターデフを介して前後輪を駆動するため、舗装路でもそのまま走ることができ、雨や雪など滑りやすい路面では4輪のトラクションを生かせる。
さらに悪路ではセンターデフをロックする4HLc、大きな駆動力が必要な急坂や極悪路ではローレンジまで使う4LLcへ切り替える。つまり「普段のFR」から「本気のクロカン4WD」まで、ひとつのシステムでカバーするのである。
ここで不思議なのが2Hだ。
新型パジェロにはS-AWCまで搭載され、4Hなら乾燥した一般道や高速道路も普通に走れる。それなら最初から常時4WDにしてしまえば、操作も簡単になるはずだ。
それでも三菱は2Hを捨てなかった。
最大の理由は、4WDを必要としない時には4WDを使わない、という合理性だろう。
実際、三菱は同じSS4-IIを採用するトライトンについて、2Hを「乾いた一般道路や高速道路を経済的に走行するとき」のモードと明記している。4輪へ駆動力を送る必要がない状況では後輪駆動を選び、効率を優先できるわけだ。
2WDか4WDかを「クルマ任せ」にしないのがパジェロ流
とはいえ、2Hの存在意義は燃費だけではない。
スーパーセレクト4WDが面白いのは、「2WDか4WDか」をドライバー自身が選べる点にある。
この思想は1991年に登場した2代目パジェロまでさかのぼる。当時の一般的なパートタイム4WDは、乾燥した舗装路では2WD、悪路では4WDという使い分けが基本。しかも4WDと2WDの切り替えには手間がかかるものも多かった。
そこで三菱が考えたのが、2WDの経済性とフルタイム4WDの安心感、さらにセンターデフロックによる悪路走破性まで一台で使い分けるスーパーセレクト4WDだった。2代目では走行中に2WDと4WDを切り替えられる仕組みを採用し、「オンロードでの快適・低燃費な走りから過酷な悪路まで自在に切り替える」という考え方を打ち出していた。
そして35年後の新型パジェロにも、その考え方が残った。
晴れた舗装路なら2H。雨が降ってきたり、路面状況が怪しくなれば4H。砂や泥では4HLc。そして険しい岩場や急坂では4LLc。
しかも2H、4H、4HLcの切り替えは、同じSS4-IIを使う現行トライトンでは走行中にも可能。わざわざクルマを止めて「さあ四駆にするぞ」と構える必要はない。
いまのSUVでは、クルマが路面状況を判断して必要な時だけ4WDにするシステムも珍しくない。それは便利だし、操作する必要がないことも立派な進化である。
しかしパジェロは少し違う。
新型ではS-AWCやAYC、ASTCなど高度な電子制御を投入しながら、その入口となる駆動方式だけはドライバーが選択できる余地を残した。最新技術ですべてをクルマ任せにするのではなく、「今日は2Hで走ろう」「ここから4Hにしよう」と人間がクルマを操る楽しさも残しているのである。
普段はFR、必要ならフルタイム4WD、さらにその先にはセンターデフロックとローレンジ。本格4WDなのに2Hがあるのではない。2Hまで選べるからこそ、新型パジェロはオンロードから極悪路まで一台でこなす「スーパーセレクト」なのである。
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