東南アジアの島国、インドネシアでは以前から日本車が親しまれ、「日本車天国」として知られている。ガイキンド・インターナショナルオートショー2026取材の合間に、大音安弘氏がジャカルタ市内の近年のクルマ事情を調査!!
※本稿は2026年9月のものです
文、写真:大音安弘
初出:『ベストカー』2026年10月10日号
2年ぶりに訪れた「日本車大国」の変貌
日本車大国として知られるインドネシア。筆者が2年ぶりに訪ねた首都ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港で、タクシー乗り場の光景に衝撃を受けた。前回は、ほとんど目にすることがなかった中国車の姿がよく見られたからだ。
特に多かったのが、BYD。それもそのはずで、2024年の現地進出でありながら、2025年の新車販売シェアは、トップ5を占める日本勢に続く6位の約4万4000台を販売。
そこに含まれないBYDの高級車デンザを合わせても、5位のスズキとは1万台以上の差はあるものの、日系各社が中国車を脅威に感じると話していたことに納得した。
ジャカルタで中国車が増えた理由には、政府の大気汚染対策「奇数偶数規制」がある。
エンジン車とHEVを対象に主要道路で平日の朝晩の規制時間は、ナンバープレートの末尾の数字により走行可能な日が限定されている。ただし、公共交通機関やバイク、BEVは対象外。そのため、富裕層が中国製BEVを購入するケースが増えている。
庶民の足としては、バイクを含めたタクシーが活躍。今回、主に大手タクシー「ブルーバード」を利用したが、正確なメーターによる明朗会計。さらにアプリでの配車や支払いも可能と利便性も高い。またベトナム「ヴィンファスト」もBEVタクシーで参入しており、市内ではよく見かけた。
ジャカルタ市内は、バンコクを彷彿させるクルマの多さ。まだまだバイクも群れを成しており、事故がないのが不思議なほど。
市内を移動中、驚いたのが、信号待ちで車道に飛び出してくる行商人とパフォーマーだ。
異様だったのが、全身を銀色に塗っただけの「シルバーマン」。芸というよりも、物乞いに近い。またチップを期待して勝手に交通整理をする人もいる。彼らには、景気悪化で職をなくした人も含まれるのは悲しい現実だが、見ている側としては、クルマやバイクにはねられないか心配で仕方なかった。
中心部は、かなり都会的だが、市内には狭い道が入り組んだ地域もあり、3輪タクシー「バジャイ」や小さな屋台が活躍する場面も見られ、新興国らしい、のどかさと活気も併せ持つ光景が見られたのは楽しかった。
まだまだクルマは憧れの存在で、自動車保有率は人口比で約8%。人口の多さから市場として期待される反面、景気悪化で中間層が減り、大衆車が主力の日系メーカーには厳しい局面だ。迫る中国勢との戦いに勝ち、日本車大国を守り続けてほしいと願うばかりだ。
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