WRC 2026年シーズンはいよいよ最終決戦へ。すでに大きなタイトルを手中に収めたトヨタだが、最後まで決着しなかったもうひとつの王座を巡って、まさかのドラマが待っていた! チームメイト同士の争いは最終ステージまでもつれ、さらに長年WRCを支えてきたマシンにも節目の時が。波乱と歓喜が交錯した最終戦を振り返る!
文:ベストカーWeb編集部/画像:トヨタ、GAZOO Racing
【画像ギャラリー】常勝GR YARIS Rally1最後の雄姿と圧巻の走りを見よ! トヨタチームの歓喜ショットも大公開!(18枚)画像ギャラリー最終SSまでもつれ込んだ狂乱のタイトル争い! 奇跡の逆転劇
すでに前戦チリで6年連続のマニュファクチャラーズ王座を決めていたトヨタ陣営。となると、やはり注目されるのは、チームメイト同士によるドライバーズ王座の行方。最終戦サルディニアはまさにドラマの連続だった。
ポイントリーダーであるエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組の33号車を追うのは、209ポイントで追うオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組の99号車とサミ・パヤリ/マルコ・サル未燃の5号車。
だが最終日のデイ4は荒れた砂利道と剥き出しの岩盤が牙をむく過酷なコンディションのなか、エバンスがタイヤにダメージを負ってタイムロスを喫すると、バーチャル上のポイントランキングは一気に大混戦へともつれこんだ。
迎えた最終パワーステージ(SS17)では、大逆転でのタイトル獲得を目指し、背水の陣で全開アタックを仕掛けたソルベルグだったが、フィニッシュ直前で惜しくもコースオフ。第13戦はソルベルグが今季3勝目を挙げたものの、着実にフィニッシュまでマシンを運んだエバンスが、わずか5ポイント差で追撃を振り切り、キャリア初となる世界王者の栄冠を掴み取った。
これまで何度もあと一歩のところで王座を逃してきたエバンスだけに、表彰台で見せた安堵と歓喜の表情は強く胸を打つものがあった。
豊田章男 TGR-WRT会長は、このアツきトヨタ同士による王座決定戦を次のように総括する。
「ついにチャンピオンになってくれたエルフィンとスコットに、“おめでとう”と“ありがとう”と、そして“ごめんなさい”も併せてメッセージを贈りたいと思います。
TOYOTA GAZOO Racingの仲間になってくれた2020年から、エルフィンは“合計5回の2位”、2023年からは“3年連続の2位”でした。悔しいシーズンばかりだったエルフィンが、念願のチャンピオンに輝いてくれました。本当におめでとう!」
さらに豊田章男会長は、これまでのエルフィン・エバンス選手による多くの貢献まで労った。
2022年からの王者マシン「GR YARIS Rally1」のラストラン
そして忘れてはならないのが、今大会が「GR YARIS Rally1」にとって最後の勇姿となった点だ。WRCでは2027年シーズンから新テクニカルレギュレーションが導入されるため、ハイブリッドシステムを纏った現行のRally1規定は今年が最終年となる。
2022年のデビュー以来、圧倒的な戦闘力と信頼性を武器に、参加した全シーズンでマニュファクチャラーズタイトルを独占してきた最高峰のマシン。最終年となった2026年も所属ドライバー5人全員が勝利を挙げるという前代未聞の強さを見せつけた。
名残惜しくもあるが、豊田章男会長は力強い言葉で次のように語る。
「既にみんなは“次のクルマたち”の準備を進めてくれていると思います。そこには、新たな挑戦もたくさんあるでしょう。はじめからうまくいかないこともあるかもしれません。また新たな“もっといいクルマづくり”を、みんなで楽しんでいきましょう!」
常勝マシンとしての使命を完璧に果たし、有終の美を飾った「GR YARIS Rally1」。失敗も成功もすべて楽しむ心持ちでトヨタは次なる2027年新時代へと挑んでいく。
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