運転時の映像を記録するドライブレコーダーの注目度が急速に高まっている。交通事故の“証拠”として有用な場合もあり、ドライブレコーダーが付きの自動車保険も登場。
「愛車にドラレコを付けたい」と思い、ふと愛車の車内を眺めると自動ブレーキ用のカメラが目に入る。
ならば、「このカメラにドラレコ機能も付けられないのか?」と感じている方も多いのではないだろうか。
2015年時点で新車装着率45%を超えた自動ブレーキ用のカメラを、ドラレコとしても使えるならユーザーにとってもメリットは多そうだが、果たして実現可能なのか?
文:ベストカー編集部
ベストカー2017年12月10日号
ドラレコ転用が難しい技術的な理由
現在のところ、外付けのドライブレコーダーが一般的だが、緊急自動ブレーキを搭載している車には、カメラ(単眼かステレオ)が搭載されている車も多い。
では、カメラを使う緊急自動ブレーキに録画機能を実装することは可能なのだろうか?
国産8社のなかでも特に自動ブレーキの採用に積極的なトヨタ、日産、スバルに聞いた。が、どうやら緊急自動ブレーキについては、各社かなりセンシティブな内容らしく、質問状に対する正式回答は得られなかった。
ただ、あるメーカー関係者は、「一般論」と断ったうえで、次のように語る。
「自動ブレーキに採用されているカメラは、解析を主としたものなので、画質の問題もあり、一般的なビデオカメラのように動画を撮って、あとで再生するというシステムにはなっていないのです」
アイサイトなどでも、レヴォーグに搭載された「アイサイトver.3」からようやくカメラがカラー化されたが、実はそれ以前のカメラはモノクロ。
少し前まで、モノクロの画像を解析するのが技術的に精いっぱいだった……という事情もあったようだ。
技術面以上にネックとなる問題も存在
そして、技術的な部分以上にネックとなる問題もあるという。
「仮に録画ができたとしても、今度はそれを表に出すのか? 出せるのか? という判断が必要になってきます」
「なぜなら、録画した映像から、画角やそのシステムがどのようなアルゴリズムで解析を行っているのかがわかってしまうためで、他社への技術流出にも繋がります。この部分が、メーカーとしては大きな障壁になります」
不特定多数が見る可能性のある映像として外に出すには、カメラの性能だけでなく、コンプライアンス面での障壁もあるようだ。
これらの回答から考えると、今後も自動ブレーキ用のカメラを、ドライブレコーダーのカメラとして使用するメーカーは出てこない可能性のほうが高いといえる。
コメント
コメントの使い方