「車の値段が高くなった」と言われるなか、安価な価格で、実用性とスポーツ性を両立するのが、大衆車をベースに性能を高めたコンパクトスポーツ。
なかでも注目を集めるのが、ともに2017年登場のスイフトスポーツとヴィッツGR。同じコンパクトスポーツでありながら、両車のキャラクターは好対照だ。
文:橋本洋平
ベストカー 2018年1月26日号『ガチすぎる対決の行方』
100万円台で『安くて速い』を実現したスイフトスポーツ
コンパクトスポーツとして大切な要素は何かと問われたならば、僕は真っ先に「安くて速いこと」と答える。
そこに合致しているのがスイフトスポーツだ。200万円以下の価格でありながら、超高張力鋼板の採用部位を増やすことで旧型よりも70kgも軽量化するという徹底した車作り。そこに23.4kgmも発揮する1.4Lダウンサイジングターボを搭載してしまったのだから驚くばかり。
それだけじゃ走りが安定しないだろうと、3ナンバー化に踏み切り、さらにはスポット打点をベース車より12点も増やすなど、走りの対策は抜かりナシ。
おかげでグイグイ曲がる回頭性があるのに、リアもピタリと安定。従来のコンパクトスポーツにはなかった仕上がりがそこにある。
レブリミットが6000回転でMTの面白みが薄かったり、パワステの感覚が人工的だったりと要求はあるが、安くて速いのだから許しちゃう。
『素材』にこだわったヴィッツGR
いっぽうのヴィッツGRは、素材にとことんこだわった贅沢な一台だ。ローダウンすると同時にザックス製ダンパーを採用。さらにはスポット打点の追加、小径ステアリングの採用、電動パワステのリセッティングなどもおこなっている。
おかげで乗り味はかなりしっとりと大人なイメージ。リアの間髪を入れず追従する感覚や、ステアリングの切りはじめから切り込み応答まで頼りがいのある連続したフィーリングが得られるなど、走りの奥深さはなかなか。
CVT車ではマニュアルモードが10速にまで刻まれると同時に、DSG(VWのデュアルクラッチトランスミッション)かのようなダイレクト感を実現。レッドゾーンをベースよりも200回転高めたエンジンとの相乗効果で、爽快な加速を味わうことが可能になっている。
全日本ラリーJN3クラスにこれでテスト参戦していたが、ステージによってはMTを凌ぐタイムを記録している。けれども、ここまで手を入れたことで車両価格はおよそ230万円。チョット高いかな? というのが正直なところだ。
【対決の勝者:スイフトスポーツ】
結果として僕が買うならスイフトスポーツ。冒頭にも書いたが、やはり安くて速いはこのクラスとしてはエライと思うからだ。コミコミ200万円でここまで楽しめる新車なんて、そうそうありませんからね。
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