これからクルマを買うぞ! という人にとって、SUVは一つの選択肢。また最近はSUV市場のすそ野も広がって低価格のクルマも用意されるようになり、初めてSUVに乗り替えようという人にとってもとてもいい状況になっている。そこでここではリーズナブルに購入・乗替できるSUVを、輸入車を含め2つの価格帯に分けて紹介。指南役の橋本洋平氏に、どれがオススメかをランク付けしてもらった。あなたの理想のSUVが見つけられるかもしれない。
※本記事は2017年3月時点のものです。また各車種のJC08モードの燃費の数値は、ガソリン、HV、ディーゼル問わず、そのモデルの最良グレードの数値です
文・オススメ度判定:橋本洋平
写真:ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年3月26日号
■【STAGE1:コンパクトクラス】 SUVの狙い目はどれだ
今や世界的なトレンドとなったといえるSUV。その人気はコンパクトクラスから上級プレミアムまでSUVがラインアップされていることからも理解できる。ここまでくれば一過性の流行で終わらず定着した世界になるのかも!?
けれども、冷静に考えてみればSUVって必要なのかと疑問に思えてくることも事実。悪路とか雪道を走ることはマレ。FFだけのラインアップモデルだって存在する。おまけに使い勝手はハッチバックとさほど変わらない。多少荷物が多く積めるとか、着座位置高くて女性でもラクに乗りこなせるというメリットはあるかもだろうが、それだけで売れる理由にはならない。
じゃあなぜSUVがもてはやされるのか? それは「オシャレに見える」とか、「実用車ではなく、人とは違ったモノ」だからウケているんじゃないだろうか。それでいて実用車と変わらない感覚で乗りこなせる点も魅力。たしかに実用車からSUVに買い替えた家族を見ると、ちょっと優雅そうに感じるもんなぁ。
■国産SUVに変化が!
そんな世界を見事に構築したのがホンダのヴェゼルだろう。トヨタC-HRが出るまでは独壇場。現在のSUV人気を作り出したパイオニアといっていいかもしれない。フィットとはひと味違い、洗練された雰囲気とフィット同様の使い勝手、そしてSUVだからといって走りを犠牲にせず、キビキビとした身のこなしをできていたことが、ヒットにつながったのだと思う。
対するライバルのC-HRは後席や荷室のスペースは二の次として、走りの質感をより引き伸ばしたところがポイント。ニュルブルクリンクまで通って煮詰めたその走りは、そんじょそこらのホットハッチでさえ追いつけない世界がある。キビキビとした身のこなしだけでなく、乗り心地も洗練されているところがヴェゼル以上に感じる。
そして何より外せない奇抜なデザインも魅力のひとつ。スペース効率ばかりを追求していたら、こうはならなかったのは言うまでもない。
奇抜なデザインといえば日産ジュークもかなりアクの強い印象がある。どこがヘッドライト? と首を傾げたくなるフロントマスクと、実用性など程遠いテールまわりの処理は、ほかとは違うクルマに乗りたいと感じる人にとっては強烈なインパクトを与えてくれたハズ。また、トルクベクタリング付きの4駆は、アクセルを踏めば踏むほど旋回してくれるイメージがあり、走りのインパクトも充分な印象。モデル末期ということを考えると、次を待ちたい気もするが……。
CX-3は質感も走りもひと言で言うなら“マツダしている” 。上級クラスのマツダ車と比べても遜色のない作り込み、これこそがCX-3のよさといえるところだろう。コンパクトSUVだからといって手ぬかりないその仕上げ方はマツダの良心が宿っている。ディーゼルエンジンを備えたところも魅力のひとつだ。
【オススメ度:A】 ホンダらしいスタイリッシュなSUV
ホンダ ヴェゼル(価格 192万〜288万6000円)
現行の3代目フィットをベースにしたコンパクトSUV。モーターだけでEV走行ができるハイブリッドモデルも用意されている
●JC08:27.0km/L
●2WD(FF)1.5L、 ハイブリッド 1.5L
●4WD 1.5L、 ハイブリッド 1.5L
【オススメ度:A】 デビューしたばかりのほっかほかSUV
トヨタ C-HR(価格 251万6400〜290万6000円)
ヴェゼル、ジュークを追従するためにトヨタが送り込んだ刺客。評価の高いTNGAのプラットフォームにハイブリッドと1.2Lターボを用意
●JC08:30.2km/L
●2WD(FF)1.8L ハイブリッド
●4WD 1.2L ターボ
【オススメ度:B】 新しいほどよくなる成長型SUV?
マツダ CX-3(価格 237万6000〜303万4000円)
デミオをベースに2015年にデビューしたコンパクトSUVだが、年々改良が続けられ、最新モデルではダンパーを変更し足回りが抜群によくなった
●JC08:25.0km/L
●2WD(FF)1.5L ディーゼルターボ
●4WD 1.5L ディーゼルターボ
【オススメ度:C】 大胆なデザインがこのクルマの魅力だ
日産 ジューク(価格 197万5320〜346万8960円)
2010年世界デビューした日産のコンパクトSUV。日産のBプラットフォームを採用し、エンジンは基本2機種となっている
●JC08:18.0km/L
●2WD(FF)1.5L、1.6Lターボ
●4WD 1.6Lターボ
■世界観が変わるSUV
ここまで国産SUV連合が充実していれば、輸入車なんて必要ないと思うかもしれない。けれども世界に目を向けると、さらに個性的でオシャレなクルマが多く存在していることが写真だけで伝わるでしょ? ポップな色彩、独特なボディライン、“ほかとは違う”をさらに追求するなら輸入車SUVは大いにアリだ。
ルノー・キャプチャー、そしてプジョー2008は、SUVとはいってもシティユースにターゲットを絞ったラインアップ。雪道に行きたいという人にはオススメできないが、現実的にはこれで充分といったところだろう。エンジンはともに1.2Lのダウンサイジングターボで、必要充分なパワーを展開してくれる。
キャプチャーに関してはMCでトルクを引き上げ、ギア比の変更を行うことでキビキビ走れるように改められたことがトピックだ。いずれにしても飛び道具的なカッコやギミックはないが、その世界観に興味が持てれば“買い”だ。
そして最後はFCAジャパンが導入するジープ・レネゲードとフィアット 500Xだ。共通のコンポーネントを採用しながらも、まったく違うテイストを生み出したこの2台もまた、あくまでシティユースが前提。ともに4駆モデルをラインアップし、それには9速のATを備えることで、スムーズな加速を演出。オシャレだけでなく、走破性にもシッカリと目を向けたところが魅力のひとつだ。
いずれにしても輸入車SUVは国産SUVから比べれば多少値が張ることも事実。だが、その世界観が気に入れば選択肢のひとつに加えてみるべきだ。そもそもSUVは“ほかとは違う一台”を追い求めて到達したひとつの答え。オシャレやカッコよさを手に入れるには、値が張るのもしかたナシか!?
【オススメ度:A】 意外にも下のレネゲードの兄弟車
フィアット 500X(価格 286万2000〜334万8000円)
パッと見はフィアット500に似たシルエットを持つが、レネゲードベースのSUV。サスは4輪ストラットで本格的だ。FFはDCTで4WDはATとなる
●JC08:15.0km/L
●2WD(FF)1.4L ターボ
●4WD 1.4L ターボ
【オススメ度:A】 名門JEEPブランドのコンパクトモデル
JEEP レネゲード(価格 297万〜345万6000円)
アメリカを代表するJEEPブランドだが、2015年デビューのこのクルマはイタリア生産。しかし随所にアメリカンなテイストが盛り込まれている
●JC08:15.5km/L
●2WD(FF)1.4L ターボ
●4WD 2.4L ターボ
【オススメ度:B】 コンパクトSUVのオシャレ番長
ルノー キャプチャー(価格 256万9000〜267万2000円)
同じグループの日産ジュークをベースにしたSUV。しかしながら、フランス車らしくオシャレ度は一枚上手。日本に輸入されるのはFFモデルのみ
●JC08:17.2km/L
●2WD(FF)1.2L ターボ
【オススメ度:C】 プジョーのエントリーSUVだ
プジョー 2008(価格 261万〜285万円)
208をベースにしたSUV。プジョーとしては3008に続くSUVとなる。日本仕様のエンジンは直3の1.2Lで、これに5速のASGが組み合わされる
●JC08:18.5km/L
●2WD(FF)1.2L ターボ
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