日本でEV充電設備のないマンションなどに住んでる人はどうすればいいのか

日本でEV充電設備のないマンションなどに住んでる人はどうすればいいのか

 日本では政府の脱炭素宣言後、ホンダが2040年全車EV&FCV化を明言し、トヨタがbZ4Xを公開するなど、急速にEVシフトが進行。欧州ではアウディが2026年以降、ベンツが2030年以降の新車をすべて電気自動車にすることを発表するなど、もはやEV化は世界の一大潮流になってきている。

 しかし、そんななか日本で心配されるのが住宅事情。日本は都市部に人口が集中していて、その多くの人が住んでいるのがマンションやアパートなどの集合住宅。集合住宅だと充電設備を設置するのは難しそう……。

 電気自動車は自宅で充電できないと不便なわけだが、電気自動車が現在のエンジン車のように一般的なクルマになった時、集合住宅に住んでいる人はどうしたらいいのだろうか?

文/国沢光宏
写真/7maru@AdobeStock、NISSAN、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】日本で「電気自動車を自宅で充電する」ことの現状を写真でチェックしてみる


■カーボンフリーまでには時間がある

 カーボンフリー対応として最も有望な移動手段は電気自動車だということが世界的な流れになってきている。実際、我が国においても2030年代中頃からハイブリッド車を含むエンジン搭載車を新車じゃ買えなくなることだろう。

 といった記事を書くと、必ずや「ウチは集合住宅だから電気自動車なんか乗れない」という後ろ向きの意見が出る。

戸建て住宅ならEV充電器を設置いやすいが日本ではマンションなどの集合住宅が多い(7maru@AdobeStock)
戸建て住宅ならEV充電器を設置いやすいが日本ではマンションなどの集合住宅が多い(7maru@AdobeStock)

 考えて頂きたい。ガソリンの販売停止を意味するカーボンフリー化は2049年12月31日。それまで28年ある。28年前ってインターネットすら黎明期。携帯電話の普及率も低かった。

 というより携帯電話で写真や動画を撮ることなんか想像すらできませんでした。「ウチは集合住宅で……」とか言う人は今日と明日くらいしかイメージできない?

■電気自動車を自宅で充電できることのメリット

 閑話休題。そうはいっても「ウチは集合住宅で‥‥」という人は少なくないようだから、今後の展望を考えてみたい。まず電気自動車の充電だけれど、そもそも自宅で行うのか、外で行うようになるのか、どちらだろう。

 中国を見ていると電池を交換するシステムも登場してきた。中国、マンションに住んでいる人まで電気自動車を買ってます。

 自宅の場合、充電能力の問題もある。我が国の場合、200Vの普通充電だと1時間あたり3kWhしか充電できない。一晩(10時間)充電して30kWh。リーフサイズの標準的な電気自動車だと200kmくらいしか走れない。

現状、自宅に200Vの普通充電器があったとしても、リーフクラスだと一晩充電した程度だと200キロほどしか走れない
現状、自宅に200Vの普通充電器があったとしても、リーフクラスだと一晩充電した程度だと200キロほどしか走れない

 ミニバンやSUVのように大柄のボディだったら120~150km分。長距離を走ろうとしたら電池交換方式は利便性高い。

 一方、自宅の充電方法も工夫が進むと思う。すでに2倍の充電性能を持つ6kWh の普通充電器など普及し始めており、これなら10時間で400km走れる分を充電可能。何より自宅充電なら電池交換スタンドに行く手間だって掛からない。電気自動車を所有していて一番便利なのはスタンドに行かなくていいことだったりして。

自宅で充電できれば、充電スタンドに行かなくていいなど、メリットは大きい
自宅で充電できれば、充電スタンドに行かなくていいなど、メリットは大きい

 もうひとつ自宅充電の決定的な優位点がある。電力料金だ。外部で充電したり電池交換するとなれば、必ずや電力料金のほか、充電施設の運営費用を負担しなければならない。電力料金が1000円分だったとしても、経費や利益など乗せると1500円くらいになって当然だと思う。100円と150円のガソリンなら、誰だって100円を選ぶ。

日産の急速充電器の写真。日産ZESP(ゼロ エミッション サポートプログラム)に入会すると日本全国のeMP充電スポットをオトクに利用できる
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 参考までに書いておくと、戸建ての人は自宅に太陽光発電を取り入れるのが最も安く付く。現時点でのランニングコストになるけれど、100km走るのに必要な金額は22km/L走るハイブリッドで680円。6.5km/kWhの電気自動車を通常電力料金で走らせると490円。家庭用太陽光発電であれば340円ほどになる。太陽光発電、今後さらに安くなります。

 また地域によっては夜間に安くなる電力料金プランもあり(やがて普及していく地熱発電や風力発電などの電力は夜間余剰になるため需要を増やすべく安くする)、いずれにしろ自宅で充電するのが最も利便性高く&安くなっていくことだろう。

 ここで28年先をイメージできない人は「ウチは集合住宅で……」に戻る(笑)。

次ページは : ■200V普通充電器の設置が新築物件の標準仕様になりつつある

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