同じ会社でもナゼ違う? バスに前乗りと後ろ乗りがある深いワケ

同じ会社でもナゼ違う? バスに前乗りと後ろ乗りがある深いワケ

 多くの路線バスはナンバープレート付近に前乗りor後ろ乗りと書いてある。その意味は読んで字の如くであり、言ってみれば料金を先に払うか後にするかを示しているのだ。でも同じバス会社であっても路線によっては、真逆となっているケースも。いつもの癖で前から乗ろうとしたら実は後ろだった……という経験をしたことのある人も多いハズだ。でも一体なぜ2種類存在するのか!?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

【画像ギャラリー】連節車でも考え方は同じ?西鉄バス北九州のシターロG(3枚)画像ギャラリー

多くは運賃収受方式の違い

 前乗りか後ろ乗りかを決めるのは多くの場合、運賃収受方式の違いによるところが大きい。どこで乗ろうがどこで降りようが同額である均一制運賃の場合は、「1乗車いくら」なので、乗車時に運賃を前払いで収受しておけば降車時には何もする必要はなく効率が良い。前乗りはのほとんどはこの例による。

対距離制運賃の場合は運賃表が表示される(西鉄バス北九州)
対距離制運賃の場合は運賃表が表示される(西鉄バス北九州)

 一方で、後ろ乗りの場合は対距離制運賃の場合がほとんどで、乗車時に整理券が発行される。最近はICカードでの乗車も多いので、その場合は整理券を取らずにリーダーにタッチすることにより乗車地が記録される。

 降車時には整理券番号に従って運賃表を見て、乗客が運賃箱に投入して精算が終了する。したがって降車時にしか運賃が確定しないので「後ろ乗り前降り」の後払いだ。

乗車方法が混在する例

 例えば都営バスの場合、23区内は均一制運賃なので前乗りで運賃先払いだ。当然ながら、運賃額は前扉から乗車した時に目に入る運賃箱側面に表示してあり(都営バスは210円)、乗客は運賃箱に投入して精算を完了させる。

多摩地区の都営バスは「後ろ乗り」
多摩地区の都営バスは「後ろ乗り」

 ところが多摩地区の場合は同じ都営バスでも対距離制運賃なので、整理券を発行し運賃表を表示しなければならない。よって中扉から乗車し整理券を取って、ディスプレイには整理券番号に従った運賃表が表示される。乗客は降車時に手持ちの整理券番号と運賃表を照らし合わせて支払いを行う。

 多摩地区の都営バスは23区内のように前からの乗車を防止するために、前面に「後のり」とわざわざ表示している。

均一運賃で後ろ乗りの例も!

 もっとも同じ均一制運賃でも後ろ乗りの場合がある。代表的な例としては大阪シティバスだ。こちらは均一制運賃ながら中扉から乗車して、降車時は前扉で運賃を支払う方式。均一制なので整理券はなく、全員の運賃は同額だ。要するに後払いか先払いかの違いにもよるということだ。

 ちなみに大阪市ではかつて、バスや地下鉄と乗り継ぐ際に「乗り継ぎ券」を発行していた。指定停留所での乗り継ぎに限られていたので、降車時にしか発行できなかった名残だと思われる。現在では乗り継ぎ券制度はないが、ICカードでは自動的に乗継割引が適用されるために、後ろ乗りの慣習だけが残ってる状況だ。

均一制運賃でも後払いのため後ろ乗りの例もある(大阪シティバス)
均一制運賃でも後払いのため後ろ乗りの例もある(大阪シティバス)

 これらの方式は3扉車を導入している事業者や、連節車を運行する事業者でも考え方は同じで、均一制運賃か対距離制運賃か、そして後払いか先払いかにより異なる。バス停の乗車方法表示や地元の方の乗車方法を参考にしていただきたい。

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