車の前後に取り付けられているバンパーは、衝突時の衝撃を吸収し、車体の損傷を防ぐという目的を持つパーツ。それゆえ擦ったりぶつけたりするケースが最も多い部位のひとつでもある。
最近では、ほとんどの新車が樹脂製のバンパーを装着しているが、同じ樹脂製でも“違い”がある。
一般的な乗用車では「カラードバンパー」と呼ばれる、ボディカラーと同色に塗装されたバンパーを採用しているのに対し、商用車などには塗装されていない黒いバンパーが採用されている例も多い。乗用車では少数派ながら、新型ジムニーもこの無塗装バンパーを採用している車種のひとつだ。
果たして、無塗装バンパーの交換費用は一般的なカラードバンパーより安いのか? 実は「YesでありNoでもある」というのがその答え。
バンパーの交換・修理費用を調べていくと、車種・メーカーにより異なる意外な事情が見えてきた。
文:永田恵一
写真:編集部、TOYOTA
“新品交換”以外のバンパー修理法と費用は?
バンパーにキズを付けてしまった場合、新品に交換する以外の対応としては【1】板金屋さんに再塗装を頼む、【2】中古部品を使う、という方法がある。
【1】の場合、車種やボディカラー、キズの大きさ、頼むお店によって大きく異なるのだが、相場は2万円~といったところ。
ちなみに、バンパーを再塗装で補修するなら、ディーラーなどを通すと中間マージンが掛かり費用もかさむので、インターネットなどで板金屋さんを探して直接持ち込んだ方が費用は抑えられることが多い。
また、バンパーの下の方など目立たない部分であれば、最近の車では型式などが記載されている「コーションプレート」からカラーコードを調べ、タッチペンで補修したり、基本的には勧められないがDIYで補修するという手もある。
【2】の中古部品は登場が新しい車種や販売台数の少ない車種では流通が少ないケースもあるが、考えてみる価値のある方法だ。
中古バンパーの入手は、インターネットオークションや修理屋さんに頼むのが一般的だろう。中古バンパーの価格も車種や中古バンパーのコンディション、流通などによって大きく変わるが、1万円程度から入手できることもしばしばある。
取り付けは修理屋さんにお願いするか、各種環境に恵まれていればDIYでやってみてもいい。ただし、バンパーは大きな部品なので送ってもらう場合には送料が高いケースもある。補修や部品交換はこのあたりを総合的に考えて、自分に合った方法を選ぶのが良いだろう。
現行ジムニーの無塗装バンパーは安いのか?
さて、気になる現行ジムニーの新品バンパーの部品代は、フロントバンパーで3万6000円(XC、価格は税抜)、1.5Lエンジンを搭載する登録車のジムニーシエラが3万8000円である。
この値段だけ見ても、現行ジムニーのバンパーが安いのか分からないので、スイフトスポーツのフロントバンパーを挙げると、こちらはボディ同色バンパーで3万7000円だ。
フロントバンパーの部品代に、細かなショートパーツと工賃を合計したものが、新品パーツを使った場合のフロントバンパーの交換費用になるが、意外にもジムニーのバンパー代は、未塗装でも特に安くないというのが結論だ。
ボディ同色バンパーと無塗装バンパーの価格がさほど変わらない理由をスズキ広報部に尋ねたところ、各部署が入り組んだ事柄なのか回答は得られなかったが、その理由として以下のような事情が考えられる。
・生産台数の違い
・スズキではバンパーの交換費用の統一化を目指している?
・大量生産だと塗装工程に掛かる費用が意外なほど安い可能性も
・未塗装バンパーでも仕上げには手間が掛かるなどの事情で、結果的にそれほど安くない
・ジムニーのバンパーは車種の性格上、より丈夫なため高い?
部品代がそれほど安くなかったのは少し残念であったが、それでもジムニーのようなクルマであれば黒い無塗装のバンパーには、以下のようなメリットがある。
・デザイン的によりワイルドな印象を強調できる
・簡易に補修してもキズはさほど目立たないケースもある
それだけにクルマの性格によっては、デザイン性も考慮したうえで未塗装の黒いバンパーを使うものが増えてもいいのではないだろうか。
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