整備工場のような店構えながら業務内容に“新車販売”と書かれた自動車屋さんを見かけたことはないだろうか。
車を売る販売店には、メーカー直営のディーラー以外に、いわゆる“業販店”と呼ばれる形態がある。修理工場や中古車販売業を営む傍らスズキやスバル、ダイハツの新車を販売する業販店は、全国各地に点在する“街の車屋さん”だ。
このような業販店で新車を買うと、一般的な新車ディーラーで買う場合とどのような違いがあり、値引きはあるのか? 自動車の販売事情に詳しい渡辺陽一郎氏に聞いた。
文:ベストカー編集部/写真:編集部
ベストカー 2018年12月10日号
新車ディーラーとどう違う? 「業販店」とは
業販店は業界用語で“業者販売店”の略称です。
“業販契約”を結んだ業販店に、メーカーに属する正規販売会社が車両を卸して売ります。屋号にメーカーの名前を冠さない業販店が多いです。大半が修理工場や中古車販売店に併設された規模の小さな販売店ですが、店構えの立派な業販店もあります。
正規販売店の出店が少ない地域に多く、大切な販売網になっています。
業販店に値引きはあるのか?
業販店はメーカーから直接仕入れる正規販売会社を通じて車両を卸すため、正規販売店に比べると、1台当たりの粗利は減ります。従って値引きも少額になるはずです。
しかし、正規販売店は同じ地域の業販店に車両を卸し、セールス方法の相談などにも乗っています。正規販売店は業販店を支援して“売っていただく”立場でもあるため、自らが多額の値引きを行って業販店の顧客を奪うことはできません。
また、業販店は複数メーカーの車両を扱うことが多く、自社製品を重点的に売ってもらうには、良好な関係が必要です。
そのために他メーカーよりも1台当たりの粗利が増えるよう、正規販売店は卸値を下げる努力もしています。
従って正規販売店と業販店の値引きはさほど違いません。また、軽自動車が中心なので値引きはもともと少額です。
業販店で車を買う長所と短所は?
業販店のメリットは、正規販売店の出店が少ない地域でも、車両の購入や点検を受けられることです。
その半面、正規販売店と違って、増販フェアのディーラーオプションサービスとか、割安なメンテナンスパックなどが用意されない場合もあります。
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というわけで、地方部など新車ディーラーが近くにない場所に住んでいる方は業販店が便利ですし、値引きを気にするなら新車ディーラーでの購入が無難かもしれません。
◇業販店/メーカー・メーカー系ディーラーと契約を結び、特定の車種の供給を受けて販売する店舗。新車販売のほかに中古車の販売、修理工場を兼業しているケースが多く、こうした業態を業販店、またはサブディーラーなどと呼ぶ。業販店と契約を結ぶ主なメーカーはスズキ、スバル、ダイハツなど。スズキの業販店は全国に約5万店ある。
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