かつては年間登録台数ナンバーワンを連取していた元祖ハイブリッドカー、トヨタ「プリウス」。しかし昨今は、どのモデルでも当たり前のようにハイブリッドモデルが設定されるようになってきたこともあってか、プリウスにかつての勢いは感じられず、その影を潜めている。
そんなプリウスだが、現行型は最終オーダーを終え、ベストカー情報では、12月に次期型が登場する見込みだという。現行型での落ち込みを巻き返すためには、次期型プリウスでは、現行型から大きな変化が求められるところだが、はたして、どんなことが期待できるのか。次期型プリウスに期待したい「サプライズ」について、考えてみよう。
文:吉川賢一
写真:TOYOYA、VW
燃費の期待値は100km/L !!
現行型の60系プリウスは、リッターあたり32km(WLTCモード燃費)の低燃費を誇る。その進化系であるプリウスPHVは、世界最高のコスパを誇るプラグインハイブリッド車だ。バッテリーのみでの航続距離は60km、ハイブリッド時の燃費は30.3km/L、これを338~401万円で売り出しているのは、他メーカーにとっては驚異でしかない。次期プリウスは、このPHVをベースにさらに進化させ、低価格車向けの新PHEVユニットを搭載することが望ましい、と筆者は考える。
次期型プリウスに期待したいのは、さらに進化したハイブリッド技術。期待したい燃費はずばり100km/Lだ。
プラグインハイブリッド車は、動力用バッテリーを大量に積んでいけば(例えばRAV4PHV並に18.1kWhも積めば)、リッター100kmは余裕で達成できるだろうが、バッテリー価格と重量がかさみ、現在世に出ている技術では、コスト目標が達成できないはず。そこをトヨタの最新技術で、リッター100km走るプラグインハイブリッド、しかも価格は現行型と変わらぬ350万円~。もしこれがしっかりと市販されるモデルとして実現できたら、世界的に大きなアピールになる。
燃費改善のためならば、ボディスタイルにこだわる必要はない
現行のプリウスPHVは、1.8L直4ガソリンエンジン+プラグインハイブリッドの構成だ。バッテリー容量は8.8kWh(RAV4 PHVは18.1kWh)と、極力減らしたことで、車両価格の上昇を抑えている。
筆者は、次期型プリウスは、ヤリスやアクアに搭載した1.5L 3気筒エンジンをベースとした新ユニットと、適切な容量に調節した動力用バッテリーを組み合わせ(10kWh程度のバイポーラ型ニッケル水素バッテリーと予測)、100㎏規模の軽量化(1410㎏←現行PHVは1510kg)を行ったうえで、さらにエアロダイナミクスを突き詰めたフォルム(Cd値0.21←現行プリウスPHVは0.25、0.21はヒョンデの「IONIQ 6」並)で登場するのでは、と予測している。
それで燃費100km/Lだ。燃費改善のためならば、今のハッチバックとセダンの間のスタイルから、脱皮してもよいと思う。新型クラウンが、デザインで「大きなチャレンジ」をしたように、技術に特化した次期型プリウスを見てみたい、と思う。
100km/Lに挑戦したメーカーはあるが、実績づくりで終わっている
2013年ごろ、フォルクスワーゲンが実施した「1Lカープロジェクト」(1Lの燃料で100㎞を走る)では、0.9Lのガソリンで100㎞を走行可能とする「XL1」が発表された。XL1は、排気量800ccの2気筒ディーゼルエンジンとモーター、7速DSG、容量5.5kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッド車だ。
初代インサイトにも似た、2人乗り3ドアハッチバックのボディはカーボン繊維強化ポリマー(CFRP)製、車重はわずか795kg、空気抵抗低減のために車両後端が絞り込まれており、後輪もカバーで覆われた、エアロダイナミクス優先(Cd値は0.189と発表)のデザインであった。
限定250台のみの生産で、新車価格は当時1000万円オーバー、一応市販はされたが、実績づくりが目的のプロジェクトであったことから、後継車が誕生することはなかった。
コメント
コメントの使い方現行モデルがマイナーチェンジでデザイン面で妥協してしまったの残念だった。次モデルではそんなことの無いように
おなじこと思ってました!
せっかく尖らせて出したのだから、貫いて欲しかった。よっぽど販売店からあーだこーだ言われたんでしょうね。