GRヤリスDATで参戦したニュル24時間レースは不本意な結果に! それでも「これがニュル!」とモリゾウさんが満足げだったワケとは?

GRヤリスDATで参戦したニュル24時間レースは不本意な結果に! それでも「これがニュル!」とモリゾウさんが満足げだったワケとは?

 2026年5月16~17日に第54回ニュルブルクリンク24時間レースの決勝が行われた。今年はフェルスタッペンの参戦もあって昨年の28万人を上回る35万2000人の観客を集め、現地は大いに盛り上がった。しかし、モリゾウさんがステアリングを握る109号車は車両トラブルに見舞われ、昨年の115周を大幅に下回る77周にとどまった。しかし、これは昨年の「完走」という結果に満足せず、さらなる高みを目指したからこその挫折だ。ニュルは甘くない、だからこそまた来年挑戦する!

文: ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、トヨタ

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「昨年のモデルよりも安心感があって乗りやすい!」109号車が挑んだ大きな進化

モリゾウさんは色紙に「これがニュル」と書いてくれた。若いチームがニュルの洗礼を浴び、このリベンジをどう果たすのか? 楽しみにしているようだった
モリゾウさんは色紙に「これがニュル」と書いてくれた。若いチームがニュルの洗礼を浴び、このリベンジをどう果たすのか? 楽しみにしているようだった

「ニュルはモリゾウの原点」とトヨタ自動車の豊田章男会長は言う。かつて初対面の成瀬弘氏から「運転のこともわからない人に、クルマのことをああだ、こうだと言われたくない」と塩対応を受けた豊田章男会長(当時は副社長)は、成瀬氏に弟子入りを志願した。

「不思議と嫌な気はしなかった」と当時を振り返るが、成瀬氏は売れるクルマばかり作る当時のトヨタを危惧し、あえて厳しい言葉を投げかけたのだろう。

 運転の訓練に使ったのは、生産が終わっていた中古の80スープラ。ニュルでも訓練を行ったが、欧州メーカーの開発車両に抜き去られ「トヨタさんにはこんなクルマつくれないでしょ?」と言われたような、たまらない悔しさを味わった。

 その悔しさこそが、「もっといいクルマづくり」のためにニュルでの活動を始めたきっかけだ。モリゾウさんはその原点を忘れないためにマスタードライバーを引き受け、70歳を迎えた今でもニュルを走り続けている。

 そして、その質は違えど、109号車にさらなる速さと安心感を与えようと奮闘してきたエンジニア、メカニック、ドライバー、そしてチームを支えたすべてのスタッフが大きな悔しさを味わうことになった。

ドライバーは左から大嶋和也氏、豊田大輔氏、モリゾウさん、石浦宏明氏、そして110号車でモリゾウさんの水先案内人を務める佐々木雅弘氏
ドライバーは左から大嶋和也氏、豊田大輔氏、モリゾウさん、石浦宏明氏、そして110号車でモリゾウさんの水先案内人を務める佐々木雅弘氏

 17日日曜日朝5時過ぎ、突如109号車に前後振動が発生し、大嶋和也選手がピットに戻ってきた。メカニックたちが細かく車両を調べるも異常は見つからない。そこで再び走り出すも振動は止まらない。8時30分過ぎ、原因不明のままエンジン、ドライブシャフト、プロペラシャフト、トランスファーなど駆動系をすべて交換するという大きな決断をした。

 だまし、だまし走るという選択もあるなか、成瀬氏とともにニュルを戦ってきたチームの関谷利之GMが口を開いた。「きっと成瀬さんだったら、直して走ろうと笑顔で言うと思います!」この言葉がきっかけで、チームは時間がかかってもしっかりと修理し、万全の状態でレースに復帰する選択をした。

 苦渋の決断だが、そもそも今年の109号車は、昨年の換装に甘んじることなく以下の3点で大きく進化していた。

1. 直線での最高速度向上のためターボの変更などで最高出力を向上 
2. 接地感向上のためフロントのトレッドを片側15mm拡大し、ロールセンター、ロールキャンバーの見直し 
3. 空力性能向上を図りリアウイング、フロントバンパーの変更に加え、アンダーフロアを新設

 いずれも市販車にフィードバックすれば、「安心してより速く、楽しく走れる」ようになるための挑戦であり、その技術を手のうちにするためのステップだ。

 モリゾウさんは2025年109号車が完走した2025年のレース後、2026年に向けて 「やりたいことがあれば、チャレンジしなさい」とチームに話した。失敗していいから挑戦しなさいということだ。

 実際にクルマは乗りやすくなり、安心して走れるぶん速くなった。しかし、壁は高く、結果を得ることなくクルマは壊れた。今回の不具合の原因は、大きく手を入れたことが理由なのかは今のところわかっていない。

次ページは : モリゾウさんをどうしても15周させたい! チーム一丸になった再スタートまでの4時間

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