常に先端を行く業界のリーダー的存在!! 世界各国でトラック・バスを展開する「メルセデス・ベンツ」を徹底解説!!【世界のトラック】

　世界各国のトラックをメーカーごとに紹介する「世界のトラック」。今回は世界最大の商用車メーカー、ダイムラートラックAGのトップブランドである「メルセデス・ベンツ」をピックアップ。世界各国でトラック・バスを展開する同社の欧州向け最新ラインナップを多賀まりお氏が解説する!!

文／多賀まりお
写真／ダイムラートラック
※2020年3月10日発売「フルロード」第36号より

常に先端を行く業界のリーダー的存在

　ダイムラーAGは2019年11月1日に組織再編を行ない、3事業体に分かれて法人化。乗用車部門の新会社メルセデス・ベンツAGとともに商用車部門を司るダイムラートラックAGが誕生した（AGは株式会社の意）。メルセデス・ベンツのトラック・バスを含む世界中のダイムラーのトラック・バス部門は、同社のもとで事業を継続することになる。

　というわけで乗用車部門と別会社になったメルセデス・ベンツの商用車は、欧州を中心に世界各国でトラック・バスを展開するトップブランドである。

　2012年にはユーロVI排出ガス規制への対応を機に大型車シリーズの全面変更を実施。2種類のキャブ幅をはじめ3種類の前後長、3種類のフロア高に5種類のルーフ形状をかけ合わせた業界最大のモジュール構造キャブを展開し、各々異なるボアピッチを持つ10.7/12.8/14.8/15.3Lの新開発エンジンを新世代エンジンプラットホームとして投入した。

　その後中型車や特装モデルも4/6気筒の新開発エンジンとともに一新。レベル2自動運転機能を大型車に世界初搭載し、各種先進安全装備や電動化技術でもいち早く実用化を果たすなど常に先端を行く業界のリーダー的存在だ。

●アクトロス
　2018年に意欲的なマイナーチェンジを実施した長距離輸送用のフラッグシップモデル。今回の改良では大型トラックとして世界初となる半自動運転機能、および電子ミラーシステムを採用したのがポイントで、同社の技術的優位性を見せつけた格好。運転席のデザインも見直され、デジタルメーターやタッチパネルが他社に先駆けて実装された。

●アロクス
　2013年にデビューした大型特装用モデルで、キャブ骨格はアクトロスと共用。キャブバリエーションは前後長1.7/2.0/2.3m、幅2.3/2.5mをラインナップ。エンジンは7.7/10.7/12.8/15.6Lの4種類を設定する。2019年のマイナーチェンジでは、アクトロス同様のデジタルメーターやタッチパネルが導入された。

●アントス
　2012年に登場した中・長距離輸送用の大型汎用モデルで、キャブはアクトロスの2.3m幅キャブの基本骨格と共用。バンパー〜フェンダー部は専用品だ。エンジンは10.6/12.8Lを主力とし、負荷の低い車型向けに7.7Lも用意される。

●アテーゴ
　GVW6.5〜16t級の中型汎用モデル。2.3m幅キャブを持つ4×2シャシーと2.5m幅キャブを持つ4×4シャシーで構成され、エンジンは4気筒5.1Lもしくは6気筒7.7Lを設定。2019年にコネクテッド機能が標準装備された。

●エコニック
　特徴的な低床キャブを持つ大型特装用トラックで、GVW18t級の2軸車とGVW26t級の3軸車をラインナップ。ローエントリータイプのキャブは室内高1745〜1920mmのハイキャブ、室内高1295〜1470mmのローキャブの2種類を設定し、ハイキャブは主に塵芥車、ローキャブはフードローダーや消防ハシゴ車の架装ベースとして人気が高い。

●ウニモグ
　世界的に有名な多目的作業用トラックの代名詞。現行型は2013年に新世代エンジンをともなって登場した。多目的作業型のU200/U300/U400と、高機動型のU4000/U5000の2シリーズを展開しており、日本でも線路工事や電話線工事などで活躍している。

●ゼトロス
　ボンネットキャブを持つ大型オフロードトラックとして、GVW18t級の2軸車とGVW27t級の3軸車をラインナップ。シャシーフレームはアロクス用をベースに補強を加えたもので、エンジンは7.2Lを搭載。キャブの一部部品はウニモグと共用する。

●スプリンター
　GVW2.5〜6t級の小型バン/キャブシャシー。基本は後輪駆動だが2018年には前輪駆動車型も選べる第3世代に進化した。また19年には前輪駆動をベースにした電動モデル「eスプリンター」も発売されている。