次期型はどうなる?? GT-Rよ永遠なれ!! ”平成”GT-Rたちの進化を振り返る

次期型はどうなる?? GT-Rよ永遠なれ!! ”平成”GT-Rたちの進化を振り返る

 第二世代スカイラインGT-Rといえば切れ味するどい直6エンジン「RB26DETT」、そして革新的4WD「アテーサE-TS」を装備し日本車の歴史を変えた車種だ。

 1989年(平成元年)のR32から始まった第二世代GT-Rはモータースポーツでも無敵の強さを見せつけ、多くのファンを魅了した。

 そんなGT-Rたちが育ってきた平成がもう終わろうとしている。R35という世界的スポーツへと昇華していったGT-Rを、いまいちど振り返りたい。

文:片岡英明/写真:平野学
ベストカー2019年3月10日号


■”GT-R”はレースで勝つための最強遺伝子だ

 レースで勝つために生まれてきたスカイラインGT(後の2000GT-B)からバトンを託された孤高のスポーツセダンが初代GT-Rだ。

 公道でもサーキットでも圧倒的な走りを見せつけ、敵なしの強さを誇った。GT-Rはスカイラインをベースに誕生したが、エンジンは専用設計である。

初代GT-Rであるハコスカ(後に2ドアも登場)。初代GT-Rは約3年間でモータースポーツ通算52勝(49連勝)を達成するなど、スカイラインの歴史に「モータースポーツ」のイメージを強く残した

 これ以降、超弩級のパフォーマンスを発揮するクルマでないと「GT-R」を名乗ることはできなくなった。

 長年にわたってスカイラインの開発に携わっていた櫻井眞一郎さんは「生半可な性能のクルマではGT-Rを名乗れないのです」と語っている。

 昭和の時代、GT-R待望論が何度も出た。が、そのたびに開発陣によって握りつぶされている。6代目のDR30、スカイライン2000RSとRSターボは「史上最強」を謳い、突出した性能の持ち主だった。

 が、直列4気筒のDOHC4バルブだったこともあり、GT-Rのネーミングは与えられていない。

先頭がR32 GT-R。鮮烈な走りはレースのみならず、市販車でも体感できるものだった。平成と同時にGT-Rの最強DNAが復活した

 年号が平成に変わった1989年5月、8代目のR32スカイラインがベールを脱いだ。

 この時、16年ぶりにスカイラインにGT-Rを冠した超高性能モデルが復活し、8月に市販に移されている。指揮を執ったのは、櫻井眞一郎氏の一番弟子の伊藤修令氏だ。

 8代目スカイラインは、ポルシェに代表されるヨーロッパのスポーツモデルを凌駕する、ダイナミックな走りを目標に掲げ、開発が行われた。

 そのリーダーとして開発され、送り出されたのがBNR32型GT-Rである。

 平成のGT-Rは、グループAレースで圧勝するために排気量を2568ccとした。GT-Rの伝統にのっとり、RB26DETT型エンジンは直列6気筒DOHC4バルブだ。

 これにセラミックタービン採用のツインターボを装着し、280ps/36.0kgmを発生。レース仕様は600psまでパワーアップするからチューニングしても壊れない設計とした。これが凄い。

鋳鉄ブロックを採用したRB26DETTはハイパワーにも耐えうる存在。600psをオーバーする出力も余裕で受け止めた(グループAのエンジンは日産工機が制作)。6連スロットルも独特な乗り味を生み出していた

 サスペンションは4輪ともマルチリンクだ。駆動方式はFRではなく電子制御トルクスプリット4WDのアテーサE-TSとしている。

 これは600psのハイパワーを後輪駆動では御せないので4輪駆動としたのだ。あのポルシェ959でも手こずった最先端の4WDシステムをGT-Rは500万円以下の低価格で実現したのだから驚く。

 伊藤修令氏は「レースで勝ち続けることを要求されるクルマがGT-Rですから、4年間は王座を明け渡さない高い潜在性能を秘めたクルマにしました」と、語っている。

 開発の早い段階からグループAレース参戦に向けて最適化を行い、最強のツーリングカーに仕立てた。

 それを証明するように、BNR32型GT-Rは1990年の開幕戦から破竹の快進撃を続けている。

 グループA最終戦となる1993年10月のインターTECまでGT-Rは勝ち続け、29連勝の偉業を達成したのだ。

 速すぎるGT-Rは、グループAレースを滅亡に追いやった。また、ヨーロッパでも速すぎるからとレギュレーションを変えられ、大きなハンディを課せられている。

 それほど抜きん出て速かったのだ。

次ページは : ■直6エンジン終焉と共に終わった第二世代

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