欧州でもトヨタ販売絶好調! クルマ観の厳しい欧州ユーザーにヤリスクロスが刺さったポイントは!?

欧州でもトヨタ販売絶好調! クルマ観の厳しい欧州ユーザーにヤリスクロスが刺さったポイントは!?

 トヨタの欧州での2023年第1四半期(1~3月)の新車販売の結果は総販売台数は2008年以降で最多となる29万1721台で、前年同期比は2.5%増になり、その販売成績をけん引したのはヤリスクロスだったとか。そこでヤリスクロスが欧州で人気となっている理由を分析した。

文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部

■欧州のユーザーにヤリスクロスが刺さったポイント

欧州市場でも大人気となっているヤリスクロス。欧州市場でも大ヒットを記録したという
欧州市場でも大人気となっているヤリスクロス。欧州市場でも大ヒットを記録したという

 トヨタの2023年3月決算によると、販売台数はすべての地域で2022年度を上回った。そしてトヨタの欧州部門については、2023年1~3月の販売台数が29万台を超えており、前年同期比も2.5%増えた。2008年以降では最も多かった。

 そして29万台を上回る販売台数のうち、トヨタブランドが96%を占める。好調な売れゆきの要因は、コンパクトSUVのヤリスクロスがヒットしたことだった。

 ヤリスは、1999年に日本国内では初代ヴィッツとして発売された時から、欧州戦略車の使命があった。そのためにヤリスクロスやヤリスハイブリッドを含んだ今日のヤリスシリーズもトヨタ自動車東日本と併せてフランスでも生産されている。

 ちなみに、1990年代までの欧州市場と欧州メーカーは高重心のボディが走行安定性の不安を伴うために、ヤリスクロスのようなSUVの取り扱いには消極的だった。

 しかし、2000年頃にはプラットフォームと足回りが進化し、SUVでも不安のない走行安定性が得られるようになった。北米ではSUVの人気がいっそう盛り上がり、旺盛な中国市場も加わって、このカテゴリーは世界的な流行に発展した。

■時代はコンパクトSUVへ

発表されたばかりのヤリスクロスマイチェンモデル。特にフロントマスクの精悍さがより増しているぞ!
発表されたばかりのヤリスクロスマイチェンモデル。特にフロントマスクの精悍さがより増しているぞ!

 そうなると欧州メーカーも、SUVを活発に開発するようになる。2000年代に入ると、メルセデスベンツ、BMW、アウディなどをはじめとするプレミアムブランドがSUVの新型車を一斉に発売して、日本へも輸入されるようになった。欧州のプレミアムブランドは全般的に車種数が多いが、それはSUVの充実によるところが大きい。

 SUVが増えた反動で、以前は売れ筋だったハッチバックモデルが衰退する傾向も見られる。例えば、ボルボのコンパクトモデルでは5ドアハッチバックのV40が生産を終えて、今ではSUVのXC40が主力だ。

 コンパクトSUVが欧州で人気を得た背景には、外観の存在感やカッコよさと併せて、優れた実用性もある。ボディがコンパクトな車種は、天井の低いハッチバックだと後席や荷室が狭まるが、背の高いSUVであれば居住性や積載性が向上する。

 室内長の寸法は同程度でも、SUVでは天井と同じく乗員の着座位置も高まるからだ。乗員が高い位置に座ると、膝から先が前方へ投げ出されず、足元空間が同程度でも広く感じられる。

次ページは : ■日本と欧州で売れゆきを伸ばしたヤリスクロス

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