ライバルのキャラバンはキック式に切り替わったが、ハイエースのパーキングブレーキは頑なにステッキ式を採用し続けている。スペースを優先? あるいは耐久性の問題!? ハイエースの謎解明しますっ!!
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
■昔はセダンもステッキ式!! 今や絶滅危惧種に
トヨタハイエースはワンボックスバンのベストセラーだ。街中で最も頻繁に見かけるクルマといっても大げさではない。
乗用車は、販売台数や保有台数が多くても、車庫に収まる時間も長い。それがハイエースのような仕事で使われる商用車は、乗用車に比べて稼働率が大幅に高い。そのために頻繁に見かけるワケだ。
ハイエースを運転して気付くのは、パーキングブレーキがステッキ式になることだ。
ATレバーの下側付近にステッキのようなレバーが装着され、これを手前に引くとパーキングブレーキが作動する。解除する時は、レバーの裏側にあるボタンを押しながら左側に回して、奥まで押し込む。
ステッキ式パーキングブレーキは、昔はセダンなども幅広く採用したが、今はほとんど見られない。ハイエースのライバル車になる日産キャラバンは、今は足踏み式パーキングブレーキを採用しているのだ。
■4代目でレバー式採用も不満爆発!! 納得の理由とは
ハイエースのパーキングブレーキの経緯を振り返ると、世代によって操作方法を変えている。
まず1967年に発売された初代ハイエースから3代目までは、現在と同様のステッキ式パーキングブレーキを採用していた。
それが1989年に発売された4代目では、上側に持ち上げる一般的なレバー式に変更。運転席と助手席の間に、レバーを設置していた。
ちなみに1列目シートに3人が並んで座るタイプは、助手席の幅が広く、2人掛けと違ってセンターコンソールボックスは装着されない。パーキングブレーキのレバーは、運転席とワイドな助手席の隙間に収めていた。
これが2004年に発売された5代目の現行型で、再びステッキ式に戻された。その理由は、運転席と助手席の間を移動しやすいからだ。
先代型の4代目では、AT/MTともにシフトレバーはパーキングブレーキレバーと併せて運転席と助手席の間に装着され(いわゆるフロアシフト)、左右の移動のしやすさは考えていなかったのだ。
ところがユーザーからは不満が生じた。3代目では、コラムシフトとステッキ式パーキングブレーキレバーによって運転席から助手席へ移りやすかったのに、4代目ではフロアシフトとレバー式パーキングブレーキが邪魔して難しくなったからだ。
倉庫などに駐車する場合、右側が壁で乗り降りできず、ドライバーが左側へ移動して乗降することも多い。このような場面で、4代目ハイエースには不都合が生じた。
コメント
コメントの使い方坂道発進が自動車教習の必修課題だった頃は、ステッキ式が最高でしたね。
前に押し込むからブレーキ解除と車の進行が同期しやすくて良かったと思います。
(昔の教習指導員)
N-VANのMT車もステッキ式だよ