トラックドライバーには欠かせない「テールゲートリフター」の事故が多発!! 労働安全衛生規則改正でどうなる?

トラックドライバーには欠かせない「テールゲートリフター」の事故が多発!! 労働安全衛生規則改正でどうなる?

 「労働安全衛生規則」の改正により、2024年2月よりテールゲートリフターを使用した荷役作業に係る特別教育が義務化される。「墜落・転落」はトラックドライバーの労働災害の4分の1を占め、ヘルメットの着用義務化等と併せて対策が強化された。

 荷役作業の効率化のために普及が進むテールゲートリフターだが、継続して使用するためには、2024年1月31日までに特別教育の受講を終えている必要がある。なお、教育を実施せずに作業を行なわせた事業者には厳しい罰則も用意されている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部・極東開発工業
図・表/陸上貨物運送事業労働災害防止協会

労働安全衛生規則を一部改正

テールゲートリフターの「特別教育」が義務化!? トラックの労働安全衛生規則改正のポイントを解説します!
極東開発工業のテールゲートリフター、「パワーゲート」。荷台後部に垂直に固定するタイプを「後部格納式」と呼ぶ

 「テールゲートリフター」(以下、TGL)はトラックの後部に搭載する、荷物の積み下ろしのための昇降装置だ。特に、台車や精密機器の荷役、フォークリフトやクレーンが使えない現場では作業の効率化に大活躍する。

 物流の2024年問題などで働き方の効率化が求められる中、日常業務でTGLを使用しているドライバーも多いが、厚生労働省の省令によりTGL使用に係る特別教育が義務化され、令和6年2月1日からは教育を終えた者でなければTGLによる作業を行なえなくなる。

 令和5年(2023年)3月28日公布の「労働安全衛生規則の一部を改正する省令」は、トラックドライバーの労働災害の4分の1を占めるとされる「墜落・転落」の防止対策を強化するもので、他にも作業時にヘルメットの着用が必要なトラックの範囲拡大などが含まれている。

 具体的な改正内容は次のようなものだ。施行日は特別教育の義務化のみ令和6年2月1日で、それ以外は令和5年(2023年)10月1日に施行される。

●昇降設備の設置が義務付けられる貨物自動車の範囲の拡大
●保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲の拡大
●テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化
●ドライバーが運転位置から離れる場合の措置の適用除外

 また、労働安全衛生規則改正に伴う施行通達によって「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」が一部改訂され、TGLによる労働災害の防止対策が新設された。事業者が実施する事項の概要としては次のようなものとなる。

●TGLの操作は、特別教育を受講した労働者に行なわせる
●作業開始前及び定期にTGLを点検する
●労働者に次の事項を遵守させる
  ●ロールボックスパレット(RBP、いわゆる「カゴ台車」)をTGLに積載する際、逸走防止措置を講ずること。特にキャスターの間隔が前後で異なるU字型のRBPは逸走防止措置を確実に講ずること
  ●床下格納式のTGLは側部ストッパーに隙間が生じることから、RBP等の車輪が脱輪しなように注意して積載すること

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