2021年4月に登場した、2代目となるホンダ「ヴェゼル」。当初は、事前受注開始から2ヶ月で2万9500台を記録するなど、先代同様の人気ぶりを発揮していたが、コロナ禍による混乱とタイミングが重なってしまったことで、受注はすれども納期1年以上という状況が続いていた。
しかしここにきて、ようやく本領発揮となっているようで、半年前の2023年4月は3000台程度であった登録台数が、9月 5489台、10月 7085台、11月9396台と、急激に伸びている。調子が出てきた2代目ヴェセルの人気の秘密を探ってみよう。
文:吉川賢一
写真:HONDA
最大の魅力はやはり「パッケージングのよさ」
現行ヴェゼルの最大の魅力は、パッケージングのよさだ。ヴェゼルの荷室は、ホンダの十八番でもあるセンタータンク方式と、後席のダイブダウン機構(後席背もたれを倒すと座面が下に沈み込み、フルフラットになる構造)によって、フラットで広大なスペースとなる。
ヤリスクロスやキックスなどのライバル車では、後席を倒すと荷室に段差ができてしまい、大きな荷物を積み込む際には使いにくいことがある。また、積載量がもっとも大きくとれるのもヴェゼルだ。荷室の使い勝手のよさはクラストップといえる。
もうひとつが、運転席からの視界のよさだ。ナビゲーションモニターや、メーターフードなどが、ドライバーの視界を邪魔しないような位置に、絶妙にレイアウトされている。また、視野が広くなるよう、ダッシュボードとサイドウィンドウのラインの高さを合わせ、Aピラーも角度によって細くなるように設計されている。このように細部にいたるまで丁寧につくられていることは、ドライバーの安心感につながっているはずだ。ホンダが大切にしてきたパッケージング技術が、これでもかと詰め込まれている。
e:HEVは、滑らかかつ低燃費で「珠玉の出来」
ヴェゼルはまた、e:HEVのWLTCモード燃費が25.0km/L(市街地24.7、郊外27.1、高速23.9)と、燃費性能も超優秀。実燃費換算で0.8掛けしても20km/Lに届くとは、ガソリン高騰時代には、大変うれしいことだ。
ホンダのエンジニアによると、現行ヴェゼルはエアロダイナミクスに相当こだわってつくられたそうで、たとえば、フロントグリルサイドにあるインテークから取り入れた気流を、フロントタイヤの前側から出し、フロントタイヤが巻き起こす空気の乱れを整える、エアスクリーンとして機能させているという。欧州車やスポーツカーが採用している流行の技術だ。また、サイドシルの後端にある形状も工夫し、リアタイヤ付近の気流を整えているそう。こうした積み重ねによって、WLTC燃費25.0km/Lは実現できたのだろう。
走行性能に関しても、先代ヴェゼルの静粛性とは比べられないほどロードノイズが小さく、発進時から高速まで、伸びのある加速感も楽しめる。1.5Lガソリン車もあるが、販売台数の9割がハイブリッドだという。筆者としても、積極的にハイブリッドのほうをお薦めしたい。
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