2023年9月に公開されたN-VAN e:。発売は2024年春を予定しているが、軽商用バンでBEVと言えば先駆者がいる。ミニキャブEVと比べたらどのような違いがあるのか?次世代の配達を担うかもしれない両モデルを比べてみてみよう。
文:西川昇吾/写真:ベストカー編集部、ホンダ、三菱自動車
■電気自動車の命!! バッテリー性能で比較!!
まずBEVとなると話題に良く上がる航続距離についてみてみよう。
ミニキャブEVの航続距離はWLTCモードで180㎞、これに対してN-VAN e:は210㎞を目標に開発しているとのことだ。
あくまでも目標数値であるため、このスペックになるとは言い切れないが、実現したら航続距離ではN-VAN e:の方が上ということになる。
しかし、日々の稼働が多いラストワンマイルを担う軽商用バンということを考えると重要なのは航続距離よりも充電時間にあるだろう。
200Vで充電した場合、ミニキャブEVはバッテリー残量が0%の状態から7.5時間で満充電となっている。
N-VAN e:は200V時の数値は公表されていないものの、高出力普通充電器の6.0kW充電に対応している。(200V充電の場合は3.2kW)
この場合、0%から満充電までの時間は5時間と公表されている。充電設備が用意できれば移動手段としての利便性はN-VAN e:の方が有利とも言えるだろう。
しかし、夜に普通充電をすることを考えれば、2.5時間という時間はそこまで大きな差ではないと言える。
高出力普通充電器はまだあまり普及していない印象があるし、導入へのハードルなどを考えると一概に「電気自動車としてはN-VAN e:の方が優れている」とは言えないだろう。
ここら辺は使用するユーザーによって異なってくるポイントだ。
ちなみに急速充電を使用した場合の80%までの回復時間はミニキャブEVが42分、N-VAN e:が30分とされている。
■仕事の相棒としての積載容量を比較!!
商用バンとして考えた場合積載性はとても重要だ。
このあたりは正直甲乙つけがたい。まず、最大積載量で見ればミニキャブEVが350㎏、N-VAN e:が300㎏でミニキャブEVの勝ちと言える。
しかし、荷室幅はミニキャブEVが1370㎜、N-VAN e:が1390㎜、荷室高はミニキャブEVが1230㎜、N-VAN e:が1365㎜でN-VAN e:の方が有利だ。
そして助手席を倒したときの荷室長はミニキャブEVが2685㎜、N-VAN e:が2645㎜でミニキャブEVの方がやや有利となっているが、
N-VAN e:はリアの荷室から運転席横(助手席の床下収納が可能)までフルフラットに出来るのが荷室の最大の魅力だ。
これは通常のN-VANと同じ特徴であるが、ここまでフラットに出来る軽商用バンはないだろう。この辺りの違いを世間はどう見るか注目したいポイントでもある。
そしてビジネスで使う商用車は値段も重要である。
N-VAN e:の価格が明らかになっていないため、直接的な比較はできないが、今ある情報から考えてみよう。
まずミニキャブEV、4人乗りが248万6000円で2人乗りが243万1000円となっている。正直180㎞の航続距離があるBEVとして考えたらバーゲンプライスと言えるかもしれない。
そしてN-VAN e:だ。こちらは正直ミニキャブEVよりは少し高くなるのではないだろうか。
というのも先にバッテリー性能の比較で全体的にN-VAN e:の方が優れているような結果になったが、その理由はN-VAN e:にバッテリーの温度制御機構が組み込まれているからだ。
ミニキャブEVはバッテリー温度上昇時の冷却装置はコストが高いので採用が見送られている。この辺りの違いが価格にどう影響してくるか注目と言えるだろう。
似ているようで比べて見ると違いがあるミニキャブEVとN-VAN e:。N-VAN e:が正式に販売をスタートしたらその違いはより明白なものになっていくことだろう。その違いが世間からどのような評価を受けるかも注目したいところだ。
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