目下、販売台数ランキングは軽自動車が上位を独占。なかでもホンダのN-BOXは圧倒的な人気を誇り、2年連続で登録車を含む販売日本一に輝いている。
2018年度の販売台数は、1位のN-BOXに続いて、2位がスズキのスペーシア、3位にダイハツ タント、4位は日産のデイズ、5位はダイハツ ムーヴとベスト5は全て軽自動車で特に背の高いモデルが人気を集める。
このなかで、実はこのN-BOXを上回り、かつて販売日本一になったモデルがある。ダイハツのタントだ。
一時は日本一に輝いたタントながら、なぜN-BOXに逆転を許してしまったのか。新型の登場を目前に改めてその理由に迫る。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部
かつてはタントが日本一!! N-BOXとの販売台数推移は?
スーパーハイトと呼ばれる背が高い軽自動車の先駆けが、2003年に初代モデルを発売したタントだった。初代モデルは後席のドアが横開きだったが、全高は1700mmを上まわる。
2007年登場の2代目は、左側のピラー(柱)をドアに内蔵する開口幅がワイドなスライド式のミラクルオープンドアを採用した。
そして、2013年には3代目の現行型に一新され、左側はミラクルオープンドア、右側は一般的なピラーを備えたスライドドアとしている。ボディ剛性を確保するため、両側にミラクルオープンドアを採用することはできなかった。
そして、2019年7月に、タントは4代目の次期型にフルモデルチェンジされる。
過去の軽自動車の販売ランキング(暦年)を振り返ると、2007年から2011年は、一貫して1位がワゴンR、2位はムーヴ、3位がタントの順番だった。
2012年は1位に前年に発売されたミライースが入り(従来のミラを含む)、2位は同じく前年に発売されたN-BOX、3位がワゴンRで、タントは4位だった。
2013年はN-BOXが1位に浮上して、2位はムーヴ、以下ワゴンR、ミライース、タントは5位だった。
状況が変わったのは2014年で、前年に発売された3代目の現行タントが売れ行きを伸ばし、軽自動車の1位になった。N-BOXは2位に下がり、3位はワゴンR、4位はデイズ&デイズルークスだ。
この後、設計の新しいタントの1位が続くと思われたが、2015年にはN-BOXが返り咲き、タントは2位になった。3位はデイズ&デイズルークスだ。2016年も1位はN-BOXでタントは2位になる。
2018年は、1位が2017年にフルモデルチェンジした現行N-BOX、2位も同じく2017年に一新されたスペーシア、3位はデイズ&デイズルークスで、タントは4位となっている。
なぜ逆転された? タントの人気が伸び悩んだ3つの理由
このように見ると、近年でタントが1位になったのは2014年だけだ。先代(初代)N-BOXの発売期間は2011年12月~2017年8月だから、2013年10月に発売された現行タントは設計が新しい。それなのに1位になった期間が短い。
タントの人気が伸び悩んだ理由は3つある。まずN-BOXの商品力が高かったことだ。水平基調の背の高いボディは、フロントマスクなども含めて、ステップワゴンなどのミニバンに似た印象がある。軽自動車では存在感が強い。
後席の座り心地も、タントは座面の柔軟性が乏しく足を前側に投げ出す座り方だが、N-BOXは先代型でも座り心地が良かった。
後席を畳んだ時の荷室容量は、タントも充分にあるが、N-BOXはさらに広々感が伴う。燃料タンクを前席の下に搭載したことで荷室の床が低く、自転車を積む時も前輪を大きく持ち上げる必要がない。
2つ目の理由は、先代N-BOXが2011年12月に発売された時のインパクトだ。ホンダにとって久々の意欲的な軽自動車で、車内は抜群に広い。先代N-BOXを初めて見た人は、広大なスペースに必ず驚いた。
実際にこの広さを使いこなせるか否かは別にして、多くのユーザーは購買意欲を刺激されている。その結果、好調に売れて、街中で見かけるようになると販売台数をさらに伸ばした。
現行タントにも、独自の魅力的な装備としてミラクルオープンドアがあるが、N-BOXのストレートな広さの表現にはかなわなかった。
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