タントとN-BOXの違いは「身内」の強敵度!?
3つ目は両メーカーの車種ラインナップにおける位置付けの違いだ。N-BOXは「Nシリーズ」の第1弾で、ホンダに対する軽自動車の需要を一手に引き受けた。
2013年11月に現行N-WGNを加えたが、軽自動車の販売ランキング順位は真新しかった2014年でも5位だ。2015年は7位、2016年も6位に後退しており、N-BOXの人気は圧倒的で、N-WGNに顧客を奪われることはほとんどなかった。
しかし、タントは事情が違う。
2014年にはタントが1位だったが、2014年12月になると、主力車種のムーヴが現行型になり、JC08モード燃費を31km/Lに向上。軽自動車では初とされる後方誤発進抑制制御機能も加えている。販売ランキングの順位も、2014年の7位から4位に上昇した。
さらに2015年にはダイハツ キャストが発売され、成功作にはならなかったが、タントの売れ行きにも多少の影響を与えた。
そして2016年にはムーヴキャンバスも発売され、これがムーヴを超えるヒット作に。販売台数はムーヴと合計して算出されるが、2017年の軽自動車ランキングは、1位がN-BOX、2位はキャンバスを加えたムーヴで、タントは3位になった。
このようにタントは、軽自動車を豊富に扱うダイハツ車とあって、需要を「身内」に奪われた面もある。軽自動車の販売No.1メーカーだから、複数車種の売れ行きが合計されて販売総数を増やすのだ。
新型で雪辱誓うタント 王座奪回はなるか!?
一方、N-BOXは「身内」に対しても1人勝ちになった。軽自動車だけでなく、フィットやフリードなど小型車の需要も奪って、売れ行きを伸ばしている。
その結果、2019年5月の販売データを見ると、国内で新車として売られたホンダ車の37%がN-BOXだ。軽自動車全体で見ると、ホンダの新車販売の52%に達する。
そこまで考えるとタントの方が販売面の心配は少ないが、次期型のプロトタイプを試乗した限りでは、選択の決め手に欠ける。
先代型の欠点を潰して運転支援機能も備えたが、後者についてはデイズなどほかの軽自動車も充実させている。緊急自動ブレーキの作動上限速度が、車両に対しても80km/hにとどまるなど、改善すべき点も散見される。
全高が1700mm以上の軽自動車は、好調に売れる代わりに競争もきわめて激しい。次期タントは、それこそ両側にミラクルオープンドアを備えるなど、実際に使うか否かは別にしてサプライズを伴った実用機能が必要だろう。
安全装備や運転支援機能の向上も含め、取り組む課題は多い。今の状態では、N-BOXの売れ行きを安定的に超えるのは難しいと思う。
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