日本では、道路事情や手頃な車両価格から、小さなクルマを好む人が多い。すると自動車メーカーも自ずと力を入れるので優秀なクルマも多くなる。ここでは2023年12月のモデルチェンジ以来早くも人気のスズキ スイフトを取り上げる。
※本稿は2024年2月のものです
文/吉川賢一、写真/SUZUKI
初出:『ベストカー』2024年3月10日号
■若年層人気も狙った4代目。期待できる!
2023年12月13日に発売開始となった新型スイフトに公道試乗することができた。新型スイフトのポイントは4つ。デザイン、燃費/走行性能、安全装備、そして快適装備/パッケージングだ。なかでも新開発の高効率3気筒エンジン(Z12E)と新CVTによる低燃費はホットポイントだ。
CVTだと24.5km/L、5速MTだと最高値の25.4km/Lにもなり、他社製ストロングハイブリッド車も真っ青のレベル。ただ、3気筒エンジン特有のネガが生じていないかはチェックしたいところだ。
試乗車はマイルドハイブリッド車のHYBRID MZ(CVT、2WD)。クールイエローメタリックは、最近若者に人気のくすみカラー。スズキによると、新型スイフトはより若い人に向けて開発したそうで、先代スイフトとは違った垢抜けたデザインとカラー、そして端正な顔立ちで、若い層にも人気が出る予感がする。
驚くべきは内装。樹脂素材ではあるのだが、色使いや模様、スイッチのレイアウトなどが上手く、見た目のクオリティが驚くほど高い。日産の「ノートオーラ」並みにも感じられ、相当頑張ったと思う。
メーター内の液晶画面は小ぶりだが、センターディスプレイがドライバー側へちょっとだけ傾けられたことで包まれ感があり、安心できる。
■新エンジン+CVTの味付けで力強い加速感
いよいよ試乗。最小回転半径4.8mからくるスイフト特有の取り回しのよさは健在で、駐車場や狭所でのUターンなどは容易だ。
事前の説明では3気筒エンジンは燃費重視だとされていたが、速度を上げていっても動力性能は充分。軽いボディの恩恵も大きいが、CVTのチューニングで、あえてシフトチェンジ時にショックを出すように演出し、力強い加速フィールを出しているとか。
楽しくて、パドルシフトでシフトダウン、アップを繰り返してエンジンサウンドを味わってしまった。ロードノイズも小さく、一般道を流すシーンでは、車内はかなり静かだった。
サスペンションの振動吸収性も高く、段差の衝撃を丸め込んでいなしてくれるような印象があり、安心感があって乗り味が心地よい。
かといってハンドリングもおろそかになっておらず、ハンドルを切れば素直に曲がる感覚や、少ないロールでコーナーを軽やかに駆け抜ける身のこなしは、コンパクトカーのなかでは相変わらずピカイチだと感じた。
■気になるところも少々……今後の改良に期待
気になったのは、3気筒エンジン特有のアイドリング振動。ブルブルといった振動がハンドルやシート、シフトノブを通して身体に伝わってくる。
先代の4気筒エンジンから、今作では3気筒へと変更となったことで、対策は念入りに施したとスズキ担当者は話していたが、他社製の3気筒エンジンと比べると、まだやれる余地はあるように思う。車速が上がれば、そのほかの揺れに紛れるのでわからなくなるが、感度の高い人には気になる部分かもしれない。
ただ、出たばかりの新型モデルであるため、こうしたネガは年次改良で解消されていくことだろう。この先に控える新型スイフトスポーツもこの新型3気筒エンジンがベースとなる可能性は高い。歴代スイスポの魅力であり続けた「走りのFUN」を追求したモデルになっていくことを期待したい。
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