トラックドライバーの時間外労働時間制限の適用猶予期限が、いよいよ2024年3月いっぱいまでに迫っている。そこで注目されているのが、「普通免許で運転できる小型トラック」。小型トラックが物流の2024年問題を解決してくれるのか!?
※本稿は2024年1月のものです
文/ベストカー編集部、写真/フルロード、ISUZU
初出:『ベストカー』2024年2月26日号
■物流の「2024年問題」とは?
「物流の2024年問題」をご存知だろうか? これは「働き方改革関連法」によりトラックドライバーの時間外労働時間が960時間に制限されることで、「モノの3割が運べなくなる」といわれている問題のことだ。
その施行が3カ月後に迫っているなかで、いま「普通免許で運転できる小型トラック」に注目が集まっている。
トラックドライバー不足が深刻化する昨今、普通免許しか持たない若い人たちにトラックに乗ってもらう本当の意味でのエントリーモデルになるのではないか、そんな期待を担っているからだ。
複雑でややこしい現行の運転免許区分の中で生まれた新ジャンルの小型トラックは、「2024年問題」解消の切り札になるか!?
■そもそも現行の運転免許区分ってどうなっているの?
かつては車両総重量(GVW)8tの中型トラックまで普通免許で運転できた時代に比べ、今や普通免許で運転できるのは3.5t未満で、ラダーフレームを有するほとんどの小型トラックは運転できない。
その上の「準中型」免許を取得するには費用も時間もかかるし、さらにその上には「中型」、「大型」という免許区分も控えている。これではトラックドライバーを目指そうにも若い人には敷居が高すぎるといえるだろう。
そもそも日本の運転免許区分は、なぜこんなにも複雑でややこしくなったのだろうか?
事の発端は2007年6月の道路交通法の改正にある。それまではトラックの免許は車両総重量8tを境に「大型」と「普通」の2種類のみだった(牽引免許等は除く)。
しかし、当時の交通死亡事故の第一当事者発生状況を見ると90%以上がトラックによる事故で、なかでも普通免許の上限に近い層(車両総重量5~8t)に高い傾向が見られた。
このため、車両総重量5t以上11t未満の「中型」免許が創設されたのである。それに伴ない普通免許で運転できるのは車両総重量5t未満/最大積載量3t未満とされることになった。
■さらに準中型免許も創設
しかし、運転免許区分の紆余曲折はそれだけでは終わらなかった。中型免許の創設から10年後の2017年3月、あれよあれよという間に今度は「準中型」免許が創設されたのだ。
準中型免許は、車両総重量3.5t以上7.5t未満、最大積載量2t以上4.5t未満である。中型免許と普通免許の間に準中型免許が無理やり割り込んだおかげで、中型免許は車両総重量7.5t以上11t未満、最大積載量4.5t以上6.5t未満に変更。普通免許も車両総重量3.5未満、最大積載量2t未満に変更された。
準中型免許が設けられたのは大きくわけて2つの理由がある。1つは、ドライバー不足を解消するため、「20歳以上/経験2年以上」の縛りがあった中型免許に対して、「18歳以上/直接取得可」としたことで、高校を卒業したばかりの若い人にも免許が取得しやすくなるというものだ。
もう1つは、バンやテールゲート等を架装すると最大積載量が少なくなってしまう「架装減トン」の問題である。
運送業界では2t車、4t車という呼称が長く使われているように、架装減トンはわかるものの、この2t/4tという積載量にこだわりたいという思いが強く、新免許制度はこの運送業界の願いを反映したものだったのだ。
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