2024年5月9日に新型が先行公開となった、ホンダの売れ筋コンパクトミニバン「フリード」。発売開始は2024年6月を予定している。
従来型フリードはモデル末期でありながら、2022年8月にフルモデルチェンジとなったライバル、トヨタ「シエンタ」に食い下がる売れ行きを維持してきたほど、人気が高かったモデル。ステップワゴンと似せることでひとクラス上を感じさせる内外装や最新の装備など、魅力はいくつかある新型フリードだが、はたして最大のウリとはなにか!?? 新型フリードについてご紹介しながら考えてみよう。
文:吉川賢一/写真:HONDA
ライバルのシエンタよりも広く、2列目はより快適に!!
もともと内外装の質感が高かったフリードだが、新型ではさらにレベルアップしてきた。ひとクラス上のステップワゴン似せることで、クラスアップしたかのように感じられ、シンプルなデザインは、ボディが大きなステップワゴンよりも新型フリードのほうがマッチしているようにも思える。
室内には、布パッドがふんだんに使われていることで上質感が与えられており、インテリアのパネルの隙間や、運転席からの視界に入る物体の重なり具合なども非常にバランスがいい。フィットやN-BOXと同じく、フル液晶メーターとなったことでメーターの視認性も向上。E-PKB(電気パーキングブレーキ)も標準装備となり、アダプティブクルーズコントロールが全車速追従型に、かつブレーキホールドも標準装備となった。
ボディサイズは、AIRについては、全長4310mm(+45mm)、全幅1695mm(同じ)×全高1755mm(-105mm)の5ナンバーサイズを維持した(カッコ内は従来型フリード比)が、フリードクロスターについては樹脂フェンダーモールを装着したことで全幅が1720mm(+25mm)とワイドに。ライバルのシエンタ(全長4260mm)よりも50mmほど全長が長くなったことで、従来型フリードと比べ1列目と2列目のシート間は+30mmも拡大、3列目シートまでだと+65mmも拡大しており、居住性は大幅に向上している。
従来型から進化した点として、2列目にも素早くエアコンの風が届くよう、ルーフに吹き出し口を新たに設けたうえで、後席専用のエアコン操作スイッチがセンターコンソールに新たに設置された。後席専用の操作スイッチが設けられたことは、後席にお子さんが乗ることが多いこのクラスならではの装備だろう。また、従来型の弱点でもあった、跳ね上げ収納タイプの3列目シートを軽量化と薄型化し、力の弱い人でも軽い力で折りたたむことができ、かつすっきりと収納できるようになった。とはいっても、シエンタは3列目シートがフロア下へ格納されるため、幅が広い荷物を載せるにはシエンタのほうが有利ではあるが、荷室広さを求めるならば、2列シート車を選んだほうがよいとも考えられるため、この点は大きなマイナスではないかもしれない。
最大のウリは「クロスター」だ!!
新型フリード最大のウリは、フリードクロスターの存在だと筆者は考える。従来型では、標準車とクロスターとでデザインに違いがほぼなく、クロスターを買う理由に乏しかったが、新型フリードでは一転、クロスターのデザインで大冒険をしてきた。
ボディ下部には黒基調のガーニッシュが施されているほか、前後バンパーは樹脂表皮がむきだしで、アウトドアに似合うタフさを演出しており、これに専用フロントグリルやロアガーニッシュ、ルーフレール、そして、ブラックとカーキの2トーンカラーなどが加わることで、まるでアウトドア風カスタムカーのような雰囲気だ。新型フリードはクロスターのデザインを優先して設計されたかのようにも思える。
しかも、クロスターのみに設定される2列シート車は、3列目シートがないことで荷室スペースが広大。大きなデッキボード下の空間には、キャンプや釣り、スキーやスノーボード、その他のアウトドアなどの荷物をまるごと収納できそうだ。また、荷室壁面にはサイドパネルが標準装備されており、フックやロープを引っかけてグッズを積載するなどして収納を楽しむことができる。これは、趣味が多い人にとって、嬉しい装備だ。
ほかにも、純正アクセサリーにはなるが、折りたたみセンターテーブルやシートバックテーブル(新型では有料オプションとなった)、ルーフラック、トランクサイドボックスなど、この手のカスタイズカーに必要なアイテムが多く用意されており、フリードの中で時間を長く過ごす人にとって嬉しい遊び要素が満載。従来型では販売台数全体に対するクロスターの割合は2割程だったそうだが、おそらく新型フリードでは、このクロスターの2列シート車を選ぶ人が増えるのではないだろうか。
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