ベンツの多目的作業車「ウニモグ」に新OS? 過酷なアルプスの除雪作業で試験を実施!

ベンツの多目的作業車「ウニモグ」に新OS? 過酷なアルプスの除雪作業で試験を実施!

 メルセデス・ベンツの多目的作業車「ウニモグ」が、従来の操作パネルに代わって直感的な作業を可能にする新オペレーティング・システム(OS)「ユニタッチ」を搭載してドイツの環境機器展に登場した。

 新OSとアタッチメントは過酷なヨーロッパアルプスの除雪作業を通じて試験され、欧州で7月から施行される新安全規則(GSR)にも適合した。新しいアタッチメントは全てユニタッチを通じて操作可能とする予定だという。

 他にバッテリーEVの「eアクトロス」除雪車や「eエコニック」裸シャシーなども展示された。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG

新OSを搭載したウニモグがアルプスを除雪

ベンツの多目的作業車「ウニモグ」に新OS? 過酷なアルプスの除雪作業で試験を実施!
ヨーロッパアルプスの除雪に当たるウニモグ

 オーストリアの最高峰であるグロースグロックナー山の山岳アルペン道路で、メルセデスベンツ・スペシャルトラックスのチームは2週間に渡り4台のウニモグを試験した。

 山岳道路会社と共にヨーロッパアルプスの有料道路の(夏季シーズンに向けた)開通を支援するとともに、開発者たちは様々なアタッチメントを持ち込み、冬季サービス用の多くの技術試験を行なった。

 特に新OSの「ユニタッチ(UNI-TOUCH)」は移動可能なセンターコンソールと大型のタッチスクリーン、割り当て可能なボタンを備え、機器操作用のジョイスティックは運転席側にも助手席側にも搭載することができる。

 使いやすさに加えてより効率的・経済的な運行が可能となった。将来的に新しいアタッチメントはすべて、ユニタッチを通じて操作可能とする予定だ。

 テスト期間中、ウニモグは主に海抜2500メートル地点での除雪作業に当たった。常に新雪が降り、視界が効かず、雪崩の危険もある厳しい環境だったが、4月末、道路の両方向から除雪を進めたウニモグが出会い、除雪作業が完了した。

 ザルツブルグ州とケルンテン州を結ぶグロースグロックナー山岳道路は、5月に封鎖が解除され再び通行可能となった。

新GSR対応とユニタッチを備えたウニモグを初公開

ベンツの多目的作業車「ウニモグ」に新OS? 過酷なアルプスの除雪作業で試験を実施!
ウニモグには新オペレーティング・システムの「ユニタッチ」を搭載

 メルセデスベンツの多目的作業車「ウニモグ」は特殊作業車の代名詞ともなっており、国内ではワイ・エンジニアリングが取り扱っている。東日本大震災の折に、当時のダイムラー・グループから復興のために寄贈されたウニモグを記憶している方も多いだろう。

 欧州では2024年7月から新しい大型車の安全規則(GSR)が施行されるが、これに対応したウニモグが、ドイツで5月13日から17日にかけて開催された環境技術の見本市「IFAT 2024」で初めて公開された。

 従来より積極的にドライバーを補助し、すべての道路利用者に更なる安全性をもたらす。なお、新GSRではサイドおよびフロントの衝突警報、交通標識の認識、後退時カメラ、タイヤ空気圧警報などが義務化される。

 ほとんどすべての作業は従来の車載コンピュータによる操作パネルに代わって新たに導入する「ユニタッチ(UNI-TOUCH)」オペレーティング・システムから直感的に操作できる。

 センターコンソールは全面的に刷新し、無駄のないデザインとなった。前後に加えて横方向にも移動することができ、スペースを節約するためコントロールの数を減らした。

 いっぽうでドライバーはボタンを個別に割り当てたり、作業用のプロファイルを保存したりできるようになった。10.5インチ(26cm)のタッチスクリーンを通じて設定を行なうことができる。このスクリーンは回転・チルトにも対応している。

 オプションの多機能ジョイスティックにコントロールを割り当てることもできる。運転席のほか助手席(フロント側)にもインターフェースを備え、アームレストで腕を休めながら右手でジョイスティックを操作できる。ジョイスティックはシートサスペンションと連動しているため、ドライバーは無理のない姿勢を保つことができる。

 また従来のイグニッションキーに代えて、新OSには「スタート/ストップ」ボタンを備える。運転席ドア、助手席ドア、オプションのモーイングドアに新しくコントロールパネルを配置した。

 メルセデスベンツ・トラックスは他に、フックリフトやスノープラウなど冬期の道路維持用装備を搭載したバッテリーEV(BEV)大型トラックの「eアクトロス400」なども出展した。

 スノープラウ(除雪板)を接続するマウンティングプレートは、以前はシャシーについていたが今回からプラウ側に移設された。これにより除雪車でも車両のセンサーが活用でき新GSRに対応するほか、冬期以外に運行する場合に重量を軽減できるというメリットもある。融雪剤を散布するスプレッダーも電動化したという。

 また、環境系の用途が多いBEV特装シャシーとして、eエコニック300(6×2)の裸シャシーも展示した。ボディを搭載しないので駆動部分の構造などを直接確認することができる。

【画像ギャラリー】除雪作業を行なうウニモグとベンツのIFAT出展車(19枚)画像ギャラリー

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