DセグBEVセダンのBYD SEAL。BYDの日本上陸が発表された当時から導入が予定されていた一台だが、とうとう日本の公道で試乗できる日がやってきた。御殿場から箱根を舞台に、街乗りからワインディングまで徹底的に乗ってみた!!
※本稿は2024年6月のものです
文:西川昇吾/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2024年7月26日号
■BYDのセダンタイプBEV、SEALがとうとう日本上陸
BYDの日本上陸時から導入が発表されていたDセグセダンのSEAL。ついに日本の公道で試乗できる時がやってきた。舞台は御殿場/箱根エリア、街乗りからワインディングまで、さまざまな状況でチェックした。
乗り込んで最初に思ったのが室内の完成度の高さ。インパネは先進的だが、奇をてらった感がなく長く付き合えそうな雰囲気。シートはナッパレザーのキルティングで上質な印象だ。
まずは2WD(FR)から試乗開始。すると走りでも上質感を見せてくれた。街中の低速域では乗り心地が良好で、全体的に角が取れている印象。BEVはどうしても車重が重たくなるため硬い足が多い傾向にあるが、2トンを超える車重でこの乗り心地は驚かされた。
また、静粛性が高いのも驚いた点だ。「BEVなら静かなのは当然」と言われそうだが、内燃機関を搭載していない分、風切り音やロードノイズが目立つのがBEVなのだ。しかし、そういった環境音が目立たないことに驚いた。
そしてワインディングに入ると、SEALは「eスポーツセダン」であることを見せてくれた。コーナーに差し掛かると進入から立ち上がりまで、フラットな姿勢で駆け抜けていく。まさにオンザレール感覚だ。
低速で良好な乗り心地だっただけに、このスポーティなハンドリングをノーマルダンパーで実現しているのは素直に凄いと思う。
■スポーツモードがより楽しいのはAWDか?
AWDに乗り換えてみると、低速域のよさはそのままに、よりシャープな加速が味わえるような乗り味となっていた。スポーツモードでのキャラ変度合はコチラのほうが大きいかもしれない。
そう考えると走りを楽しみたいのであればAWDだが、2WDでもその万能な高性能は充分に享受することができる。これほど走りが楽しいと、回生ブレーキの強弱をコントロールできるパドルシフトがないのが惜しく感じる。
今後の改良に期待したい点としては、敏感過ぎる車線逸脱の警告と、後部座席の腰回りの形状に若干の違和感があり、フィットしないことだ。特に後部座席は足元の空間が広いだけに、「ここがよければ完璧なのに」というもったいなさを感じてしまう。
ただ、ATTO3の改良を振り返ると、SEALもスグに完成度を高めてくるかもしれない。
初期限定車は500万円を切る価格で各種性能の高さを感じるSEALはまさに黒船的存在。市場の評価はもちろん、バージョンアップにも注目したい。
●BYD SEAL 諸元表
・グレード:SEAL AWD
・全長:4800mm
・全幅:1875mm
・全高:1460mm
・ホイールベース:2920mm
・車両重量:2210kg
・パワートレーン:電気モーター
・モーター出力:Fr=217ps/31.6kgm Rr=312ps/36.7kgm
・バッテリー容量:82.56kWh
・一充電走行可能距離:575km
・価格:605万円
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