降ろしたついでに「エンジン腰下」を外側から点検【2ストエンジン編】

降ろしたついでに「エンジン腰下」を外側から点検【2ストエンジン編】

クランクシャフトやコンロッドなど、エンジン中身のコンディション確認に限らず、エンジンが降ろしてあるのなら様々な部分のメンテナンスが可能だ。いわゆる「ついで」メンテナンスの実践で、トラブルを予防 することもできる。クラッチカバーを取り外せば、クラッチユニットやキックシャフト周りも、容易に確認点検することができる。メカニズムを想像しながら、各部を観察してみよう。

文/たぐちかつみ

ピストンピンとスモールエンドの「ガタ」確認は必須 



2ストロークエンジンのコンロッド小端部=スモールエンドには、ニードルベアリングが組み込まれている(1950年代の設計モデルには焼き付き防止用で砲金ブッシュが圧入された仕様もある)。エンジン腰上が分解されていて、コンロッドを目視確認できるのだから、ASSY状態の腰下でも、コンロッドのコンディションは確認することができる。2ストエンジンの場合は、小端部にニードルローラーベアリングをセットして、その状態でピストンピンを差し込んでみよう。コンロッドを片手で固定し、ピストンピンを動かそうとしたときに、ガタがあるのは大問題。そのガタの原因が、ベアリングなのか、コンロッドなのか、ピストンピンなのか、どこにあるのかその特定を最優先しよう。

ビッグエンド側はシックネスゲージを利用すると良い 



クランクケースから首を出しているコンロッド小端部を回転方向や上下方向、クランク軸に対して左右へ振ってガタ確認してみよう。設定されたクリアランスを超えるガタがあるときには、異常と診断できる。エンジン始動すれば異音が出るはずだ。



2ストエンジンで比較的多いトラブルが、大端部(ビッグエンド)のサイドメタル摩耗によるガタの発生である。シックネスゲージでサイドクリアランスを点検してみよう。クリアランス大のときにはクランクシャフトの分解オーバーホールが必要である。

ドライブシャフトオイルシールのコンディションも確認 



ドライブスプロケットを取り外すと、その裏にはオイルシールとカラーが見える(小排気量車の多くはオイルシールが直にミッションシャフトに触れているタイプが多い)。ミッションシャフトからカラーを摘まんで引き抜き、オイルシールとカラーのコンディションを目視確認してみよう。特に、分解時にオイル滲みがあった場合は要注意だ。



分解前のミッションシャフト周囲はパーツクリーナーで洗い流すことなく「現場維持」した状態で点検しよう。カラーは取り外してから洗浄して、オイルシールリップの当たり箇所を目視確認する。リップ擦れ部が摩耗しているとオイル滲みの原因になる。指先に感じる摩耗がある時には、カラー交換もしくは応急処置でカラーを逆組みできる。

経年劣化でシフトドラムの「樹脂カバー割れ」が多い 



ニュートラルスイッチの接点はシフトドラムにあるが、電気が通らないようにカバーは樹脂製部品となっているRZ-Rエンジン。3本の皿ネジ固定箇所は劣化で縮み、すべて割れていた。分解洗浄後にプラリペアで補修したいところだ。



劣化が進むと締め付け座がポロッと割れ落ちてしまうこともある。樹脂カバーの嵌合部分にはOリングがセットされていて、オイル漏れを防いでいる。オイル滲みがある場合は、新品Oリングに交換して、シール座をクリーニングしよう。

確認できるポイントは数多くあるので積極的に!! 



クラッチカバーを開けることで、フリクションディスクの減り具合やクラッチプレートの焼けや歪みの有無を点検することができる。その他にも、クラッチカバーを分解したついでに、キックシャフトやキックスプリングのコンディションも確認しておこう。過去に始動性が悪かったエンジンは、キックスプリングが伸び、ヘタっていることもある。



クランクケース側のシリンダーベース面に取り付けられているスタッドボルトや位置決めピンのコンディションを確認し、サビが進んでいる場合は部品交換しよう。取り外し時にはサビやゴミが落下しないように、きれいなウエスをクランク室を保護しよう。ボルトのサビが気になる時には、サビ転換防錆ペイントを刷毛塗りしておくのも良い。

 

POINT
  • ポイント1・エンジンが降りているのなら様々な箇所の点検も容易なので、積極的に「ついでメンテナンス」を実践しよう
  • ポイント2・オイル漏れやオイル滲みが発生している時には、患部を特定してオイルシール交換しよう 
  • ポイント3・部品同士が接合する箇所は、組み立て前に徹底クリーニングしよう。クリーニング忘れが後のトラブル原因になることもある 

 

 車体にエンジンが搭載されていると、作業したくても、なかなか作業進行できないことがある。ところが、エンジンが降りていて単品状態になっていると、想像以上に様々なメンテナンスが可能になる。エンジンが単体タイミングなら、予防的なメンテナンスも実践可能だ。後々発生するかも知れない諸問題を、事前に回避することもできるのだ。エンジンは地べたに直置きするのではなく、メンテナンスしやすい木製エンジン台に載せたり、廃物利用では、12インチサイズの古タイヤの上に置くことで、作業台にできる。

 車体に搭載された状態のエンジンから、クラッチカバーを取り外し、内部パーツのメンテナンスを施すと、サイドスタンドで作業進行するのが一般的だろう。しかし、エンジンが降りている状況であれば、作業台の上でエンジンをグルッと回し、クラッチカバーを真上にして分解することができる、この「真上にできる」ことの素晴らしさは、体験者なら誰もが理解できるはずだ。作業中に部品がズレにくいこともあり、確実な分解組み立てができるのだ。

 ドライブスプロケットがセンターロック式の場合は、専用工具のクラッチセンター(クラッチハブ)ホルダーの爪を、スプロケットの歯に掛けることで、スプロケットを固定しつつセンターナットを緩めることができる。クラッチユニットを真上に向けられるので、クラッチ系主要部品の分解も楽になるのだ。エンジンが降ろしてあるタイミングこそ、作業しやすいタイミングでもあるので、積極的に「ついで」のメンテナンスを実践しよう。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/maintenance/500802/

降ろしたついでに「エンジン腰下」を外側から点検【2ストエンジン編】【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/500802/500806/

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