オフロードバイクにオンロードタイヤを履かせたバイクのカテゴリー「モタード」は、フランス語で「バイク」意味する。これはカテゴリーとしての「モタード」がフランスで人気を博した「スーパーモタード」というレースジャンルから誕生したことに由来する。カワサキのDトラッカーは、メーカーが製造するモタードバイクのはしりであり、DトラッカーXはフューエルインジェクション化することで排気ガス規制に対応したモデルである。
モタードモデルの先駆者、その最終型
1993年に登場した水冷DOHCエンジンを搭載したカワサキのオフロードモデルKLX250シリーズは、高性能4ストロークオフローダーの先駆けとなった。このKLX250に17インチのオンロードタイヤを組み合わせたDトラッカーは1998年に登場し、2008年に排気ガス対応のためのフューエルインジェクションや新しいデザインのヘッドライトなどを採用したDトラッカーXへとモデルチェンジが行なわれた。
オフロードバイク本来の持ち味である軽快さを武器に、アスファルトでのコーナリング性能を手に入れたDトラッカーシリーズは新しいバイクのジャンルとして受け入れられ、初心者からベテランライダーまで幅広いライダーに受け入れられた。元々のKLX用エンジンや車体のポテンシャルが高かったこともあり、街中や峠道でいわゆるスポーツバイクを置き去りにする性能を見せた。
扱いやすく、足付き性も及第点
ポジションはオフロードバイクベースなので、上半身が起きた自由度の高いもの。モデルは170cm/65kgの体格だが、ホイールサイズが17インチになったことで、足付き性はKLXよりも当然良くなっている。両足のかかとべっとたりとまではいかないが、車体が軽量に仕上げられているということもあり、取り扱いにとまどうことが無いレベルと言える。
KLX譲りのDOHCユニット
DトラッカーXのパワーユニットはKLX譲りの水冷DOHC4バルブの249ccで、最高出力18kW(24PS)/9,000rpm、最大トルク21N・m/7,000rpmとキャブレターモデルのDトラッカーよりも若干パワーダウンしたものの、シングルの単気筒エンジンとしては充分なパワーとトルクが確保されていた。燃料供給はフューエルインジェクションが採用され、トランスミッションは6速リターンタイプとなる。
サスペンションはオンロード向けにリセッティングされる
車体はKLX譲りのスチール製のペリメターフレームに、オンロード向けにセッティングされたサスペンションを組み合わせる。フロントには43mm径の倒立フォークを、リアにはカワサキの伝統とも言えるユニトラックサスペンションを装備。フロントは圧側の減衰力調整機能を、リアはプリロードと伸び・圧両方のの減衰力調整機能備えている。ブレーキシステムはフロント300mm、リア240mmのペタルローターを備えたディスクブレーキを装備する。
今こそ乗りたい、本格モタード
2008年から製造されたDトラッカーXは、2016年のブルーアルマイト加工されたホイールリムやスペシャルカラーが採用されたファイナルエディションを最後にカタログから姿を消した。排気ガス規制がその主な原因であり、後継モデルとして期待されたKLX230SMが2022年に10月に発売されたものの、またしても排気ガス規制の影響でなんとその10月一杯で生産が中止になっている。2024年4月現在、カワサキには公道走行可能なオフロードモデルモタードモデルもラインナップされていないこともあり、DトラッカーXは貴重な存在と言えるだろう。
DトラッカーX(2016)主要諸元
・全長×全幅×全高:2,130×1,125×795mm
・ホイールベース:1,420mm
・シート高:860mm
・車重:138kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 249cc
・最高出力:18kW(24PS)/9,000rpm
・最大トルク:21N・m(2.1kg-m)/7,000rpm
・燃料タンク容量:7.7L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-17、R=130/70-17
・価格:58万5,360円(2016年/ファイナルエディション)
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/371673/
カワサキ製モタードバイクの集大成、「DトラッカーX」【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery2/?gallery_id=371673
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