バイクに乗り始めて2年半ほど……まだまだバイクビギナーという自覚はありつつも、自らをルーキー(新人)ライダーと名乗って、もっといろんなバイクに乗ってみようと思う今日この頃。そんなタイミングで、インディアンモーターサイクル(以下、インディアン)の最新スカウトシリーズの101スカウトに乗る機会を得た。1250CC、最高出力111HPに挑戦だ!
文:ムラタナオコ Webikeプラス
写真:長谷川徹
私が知っていたインディアンは幻想?ニュースカウトのワイルドさに感嘆!
振り返るとバイクに乗り始めて1年ほどが経った時、はじめてのクルーザー試乗がインディアンのスカウトローグ(1133cc)だった。その後、スポーツチーフ(1890cc)にも乗る機会があり、この2台を通して私は「インディアンのバイクって、思っていたより乗りやすいな〜。特にスカウトローグはとってもフレンドリーで、重さも感じないし扱いやすい!ビギナーにもやさしい!」と思っていた。
そんなインディアンの主幹モデルであるスカウトシリーズが10年ぶりにフルモデルチェンジ!最新スカウトシリーズのフラッグシップモデルである101スカウトに乗る機会を得たわけだが、試乗してすぐに思ったのだ。「なかなかワイルド〜!」と感嘆しつつ、私に楽しめるのだろうか?と一抹の不安も抱いたのだった。
車両重量は249kgあるが、スリムなVツインとロー&ロングなスタイルも相まって、実際のところ重さはさほど気にならない。これは従来のスカウトシリーズも同様で、「見た目より軽い!」という心理的な安心感は大きい。
しかし、6インチライザーと少し広めのハンドルバーの組み合せによってハンドルはやや遠くに感じるし、フォワードステップも想像よりも前。なかなか攻めたポジションだなと思いつつ、エンジンを始動して走り始めてみると、それまで私がインディアンのバイクに対して抱いていた「(いい意味で)見た目に似合わず穏やかで、フレンドリーなクルーザー」というキャラクターは、101スカウトには当てはまらないなと痛感した。
木漏れ日がまぶしいワインディング……のんびり穏やかに走りたくなるシチュエーションに反して、101スカウトはそれを許してくれる感じがしない。モードは「レイン」「スタンダード」「スポーツ」の3パターンがあり、「スタンダード」を選んでいるにも関わらずだ。
語弊がないように書くと、のんびり走れないわけではないし、変に急かされているわけでもないのだが、101スカウトが「こんなんじゃ満足できないよ、頼むよ、ちょっと!」と言っている感じだ。
(こんな時だけ)え、私ビギナーですからと言い訳をしながら、少しずつ自分なりに試みる。たとえばカーブではブレーキング、旋回、立ち上がりを明確に意識。すると、少しマシになった気がした。
考えるな!感じるんだ!と101スカウトが言ったとか、言わないとか
とはいえ、地底から響いてくるようなエンジンの鼓動に応えられている感じはまだ薄い。私の技量がこのバイクの平均値にも辿り着いていないと思って、直線、コーナリングと、これでどうよ?とさらに試していく。そして、これはクルーザーと思って乗らない方がいいのでは?という見解に辿り着いた。
そう思って峠道を走ったら余計な思考や力みがなくなったのか、コーナーで「カリッ」と一瞬ステップのバンクセンサーを擦った。あわわ、擦った!と焦りつつ、このバイクを少し掴めた気がして嬉しかった。思っていたよりもスポーティなバイクでありつつ、バンク角がそんなにないことが体感できた瞬間だ。
ようやくバイクのキャラクターに寄り添えた気がして、満を持して「スポーツ」モードに変更。意思をもってスロットルを大きく開けると、瞬時に正解!と言わんばかりの加速を見せてくれた。
信号待ちで止まったときの視界の高さやエンジンから感じる熱も相まって、1250ccのロー&ロングということに改めて気づく。乗っているとスポーティさに感心してしまうのだが、101スカウトはクルーザーなのだ。
たとえばスポーツ走行を愛する女性ライダーは、この「クラブスタイル」をどう感じて、どう走るのだろうか?小柄なライダーでも足つきはさほど心配ないと思うので、この101スカウトで華麗に走っていたら相当カッコいいだろうなと思う。なぜなら、このユニークなバイクで峠道を抜け、高速を駆け抜けていく真夏のワンシーンは、なんだか自分ちょっとカッコよくないか?と妙に自己陶酔感があったから。ぜひ、そんな女性ライダーに会ってみたいと願うばかりだ。
ツンツンツン(たまに)デレをドヤ顔で乗る!自己満足のススメ
少し慣れたと思っても、Uターンに気づきがあった。そもそもまだUターンに苦手意識があるとはいえ、101スカウトの場合はハンドルをきると余計に遠くなるのでフルで早めにきらないといけない。もちろん慣れもあるだろうが、走りも含めて、こうした気づきがあるたびに脳内で某キャラクターが「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱っている光景が浮かんだ。なんだろう、そう言われている気がするのだ。でも嫌な叱られ方じゃない。
それにしても最新スカウトシリーズのフラッグシップモデルである101スカウトがこんな尖ったバイクだと思っていなかったので、最初は面食らった部分もある。スカウトローグ(1133cc)のように、バイクビギナーにもやさしくておすすめのクルーザーとは正直言い切れない。私の印象では、ツンツンツン(たまに)デレといった感じで圧倒的にツンが多かったのだが、でも嫌いじゃない(笑)。むしろ「これに乗ってる私カッコいいよね!」と胸をはって自慢できるような優越感を101スカウトはもたらしてくれた。
撮影の翌日は1人で再び高速なども走ってみたが、初対面のときよりなんだか寄り添えた感じがした。まだまだ101スカウトの魅力を引き出した走りじゃないにしろ、マシになったなと言われたような気分だ。そんなこともありドヤ顔で乗っていたからか、信号待ちで隣の見知らぬ車の人から満面の笑みでサムズアップのサインをいただいたことも、忘れずに書きとめておきたい。
101スカウトのディテールを見てみよう
インディアンの新生スカウトシリーズをチェックしてみよう!
創業は1901年、現存するバイクブランドとしてはアメリカ最古の歴史を誇るインディアンモーターサイクル。そんな老舗ブランドの長い歴史のなかで、1920年にスカウトは産声を上げた。その後、激動の流れを経て、2014年に旧モデルのスカウトが誕生した。今回登場したスカウトは、エンジン、車体ともに刷新したフルモデルチェンジだ。
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