令和の時代の新しい代替バス・日田彦山線BRTの存在感が別格すぎる!!

令和の時代の新しい代替バス・日田彦山線BRTの存在感が別格すぎる!!

 それまであった鉄道がなくなると、いわゆる代替バスが走り始めるのは定番の流れ。通常なら普通の路線バスが代替バスとなるが、九州では次世代の交通機関「BRT」化の道を選んだ代替バスが令和の時代に生まれた。

文・写真:中山修一
(日田彦山線BRTの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■BRTになったJR日田彦山線

2両編成のディーゼルカーが走る日田彦山線
2両編成のディーゼルカーが走る日田彦山線

 代替バスにBRTの概念を採り入れたのが、JR九州が運行している日田彦山線。福岡県北九州市の小倉を出て3つ目・城野駅から、内陸部を突っ切る形で南下して、大分県日田市の夜明駅まで68.7kmを結ぶ非電化の路線だ。

 日田彦山線は2017年に発生した豪雨によって、途中の添田〜夜明駅間の線路に甚大な被害を受けた。

 閑散区間であったため、復旧とその後の運営コストに対して、十分な収益が見込めないこともあり、鉄道としての再開を断念。

 地元自治体との協議の末、既存のインフラを活かしつつ、バスを使った新しいスタイルの交通手段「BRT(Bus Rapid Transit)」として整備し直した上での存続が決まった。

 その後、小倉・城野〜添田間は従来の鉄道が繋ぎ、添田〜夜明間37.7kmを「日田彦山線BRT(BRTひこぼしライン)」に改め、2023年8月に開業した。

■電車の切符で乗れるバスだと?

 BRT区間の運営はJR九州から切り離されて、子会社のJR九州バスが担当している。まずここで気になるのは運賃(切符)に関するところ。

 全区間が鉄のレールで繋がっていた時代は、もちろん1枚の切符で全区間を通しで乗れた。現在はどうなったのだろう。

 会社が変わってしまうと原則、運賃も別々に支払うことになるが、「日田彦山線」の路線名自体は、日田にも彦山にも行かなくなった鉄道区間にもBRT区間にも残っているので、あくまで1本の路線として繋がっている、とも取れる。

 どうせ乗るからと、JR小倉駅の窓口で、日田彦山線経由で日田から更に先まで行きたい旨を伝えたところ、日田彦山線に相当する区間は鉄道/BRTを1枚の切符にまとめられる、とのこと。

券面にはBRTと印字される
券面にはBRTと印字される

 ただし、鉄道→BRTの切符は作れるが、鉄道→BRT→鉄道のような、BRTを挟んで鉄道の乗り継ぎを行う切符は不可だそうだ。距離が伸びるほど安くなる、一筆書き切符を作る際にBRTを組み込めないのは、ちょっと残念かな。

■遠いけど乗るのはラクラク

 小倉から日田彦山線BRTに乗ろうとするなら、まずは普通に駅から日田彦山線の列車に乗って、鉄道区間の現・終点である添田駅まで行く。

 出発する時刻にもよるが、所要時間は1時間20分ほど。ちょっと奥の方まで行かないと乗れない代替バス、というわけだ。

添田駅では同じホーム上で列車とBRTの乗り換えができる
添田駅では同じホーム上で列車とBRTの乗り換えができる

 列車に乗ったまでは良いものの、駅に着いたら着いたで全然バスがなく、えらく長い待ち時間が生じてしまう、なんてケースは鉄道代替バスにはよくある話だ。

 日田彦山線はローカルだし、お定まりのパターンなんじゃないの? と考えたくなる。しかしこの路線は「BRT」の名を冠しているだけあって心配無用。

 BRTには国が定めている定義があり、その中に「利便性」が含まれている。他の乗り物とスムーズに乗り継ぎができるよう工夫していることが、BRTを名乗る条件の一つなのだ。

 日田彦山線BRTはどの列車で添田駅まで行っても、大体10分前後で列車とバスの乗り換えができるよう出発時刻を合わせてあるため、行くまでは遠いが乗るのは大変ラクだ。

次ページは : ■中型路線車がBRTのアイデンティティを守る?

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