■中型路線車がBRTのアイデンティティを守る?
日田彦山線BRTといえば、中国製の小型電気バスを投入しているのが特徴の一つ。とはいえ当日やってきたのは、ごく一般的な日本製ディーゼル中型路線車のいすゞエルガミオだった。
この日は土曜日で、観光客を中心にそれなりの利用があった。BRTの定義には「輸送力」も含まれている。
これが欠けるとBRTを名乗れなくなってしまうので、小型電気バスでは輸送力が不足しそうな日には定員に余裕のある中型路線車を出して、BRTの定義を遵守している、ということのようだ。
■最強のアクセスルートで本領発揮
BRTの定義にある「速達性」と「定時性」。この2点は日田彦山線BRTの得意分野だろう。同路線の最大の特徴が、線路だった場所を整備したバス専用道路を通る点だ。
添田から乗ると、しばらくの間は線路跡の近くを沿うようにして一般道を通り、途中で専用道路に入り、彦山〜宝珠山およそ14kmの区間を走行する。
専用道路には鉄道時代の駅ホームが残されていたり、鉄のレールが敷かれていた痕跡が、車内からでもまじまじと見て取れたりするのがユニーク。
踏切に相当する場所もあり、専用道を横切る車両や歩行者ではなく、バスのほうが一旦停止する、鉄道時代と主従関係が逆転しているところも面白い。
■鉄道的なオマケのアレ
BRTは久大本線の日田駅まで直通するが、この日は日田より2つ手前、日田彦山線の終点だった夜明駅で下車した。小倉で買った際に券面がBRT夜明までの切符が出てきた関係もあったりして。
添田〜夜明までの所要時間は1時間弱。小倉から通し乗車券を購入すると運賃は1,510円だった。
日田彦山線BRTは後(中)乗り・前降りの運賃後払い方式。切符を持っていれば降車時に運転手さんに手渡せばOK。
降りる際に手渡そうとしたら「これ要りますよね?」とのお返事。鉄道旅の切符集めを趣味にしている向きにはおなじみ、無効印もしくは乗車記念スタンプが(たまたまかも知れないが)用意されていた。
やはりこのBRTは鉄道に限りなく近い乗り物だったかと感心しつつ、特急券と同じサイズの切符だったので、有り難くスタンプを押していただいた。
日田彦山線BRTは観光利用が多い路線と見えて、ちょっとしたオマケサービスにも抜かりないあたりが凄く嬉しい。
鉄道代替BRTはまだ歴史が浅く、全国的にそれほど数も多くないのであるが、速さと便利さを主眼に置いた定義を持つのがBRTということで、日田彦山線BRTは雰囲気こそ直球系のローカル路線バスながら、使い勝手の良さは格別だ。
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